中国レアアースの「規制撤廃」 国際市場は「ほとんど反応せず」!?=中国メディア

 香港メディアの中評社は10日、中国がレアアースの輸出規制を撤廃し、5月を目処に輸出関税も取り消すと発表したことについて、スイスの日刊紙「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング(NZZ)」が「驚くべきは国際市場がほとんど反応していないこと」と報じたことを紹介した。  記事は、中国がレアアースの輸出規制を撤廃すると発表したにもかかわらず、2015年1月におけるレアアース価格はほぼ安定した値動きだったと伝え、数年前の市場であれば大きな反応を示していたはずとの見方を示した。  さらに、2010年に中国が日本へのレアアース輸出を制限し、11年に輸出割当量を削減した際にはレアアース価格が暴騰し、中国産レアアースに依存していた日本や米国などは中国のレアアース規制に「慌てふためいたものだった」と回顧した。  続けて、市場が中国のレアアース輸出規制撤廃に対して「反応を示さなかった理由」として、過去数年間における需給バランスの変化を挙げ、「中国が輸出規制を行い、レアアース価格が上昇したことが、米国やオーストラリアでのレアアース生産を促した」と紹介。  さらに、廃棄された電池からのレアアース回収といったリサイクルも行われるようになったことを挙げ、「中国のレアアース市場におけるシェアは10年の98%からすでに90%まで低下している」と報じた。また、中国によるレアアース規制は企業のイノベーションも促進したとし、一部ではレアアースを使用せずに従来どおりの製品を作る技術も誕生したことを紹介した。  また記事は、中国がレアアースの輸出規制を行った際に環境保護や違法採掘対策などを理由として挙げていたことを指摘する一方、「中国国内におけるレアアース違法採掘は減っていない」と指摘。また、14年における中国のレアアース輸出割当量は3万トン以上だったが、実際に輸出されたレアアースの量は2万8000トンにとどまり、実質的に割当量が機能していなかったことや中国の影響力低下を指摘したうえで、「だからこそ中国が輸出規制を撤廃すると発表しても、市場では価格の反応が薄かったのだ」と論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
香港メディアの中評社は10日、中国がレアアースの輸出規制を撤廃し、5月を目処に輸出関税も取り消すと発表したことについて、スイスの日刊紙が「驚くべきは国際市場がほとんど反応していないこと」と報じたことを紹介した。(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
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2015-02-12 12:00