中国の「原発計画」 国内だけでなく輸出も「攻勢」

 中国は原子力発電容量を2020年までに58ギガワットに引き上げる計画だ。最終目標は70-75ギガワットで、米国に次ぐ世界第2位の原発大国となる方針だ。中国は一方で、原子力発電施設の輸出にも熱心だ。2月になり、パキスタンで原子力発電所6カ所の建設を請け負い、アルゼンチンには原子炉輸出が決まったと報じられた。  中国は現在、泰山(浙江省)、泰山二期(同)、大亜湾(広東)など原子力発電所12カ所を稼働させている。建設中の原子力発電所は9カ所、計画中は27カ所だ。2011年3月の福島第一原発の事故を受け、いったん原発建設計画を凍結したが、翌12年には改めて原発建設を推進し始めた。  中国政府は2013年、原発について「原子炉の技術において、可能な限り技術と設計を自主開発せよ」と要求した。技術開発への注力は、原発の輸出にも関係していると考えられる。  中国政府・国家発展改革委員会の王暁濤副主は2月9日までに、中国はパキスタンの原子力発電所6カ所の建設を請け負い、さらに多くの原子炉を輸出する見込みがあると述べた。  アルゼンチンのキルチネル大統領が3日から5日にかけて訪中した際には、中国が開発した第3世代原子炉の華龍1号(ACP1000)1基をアルゼンチンに輸出することが決まった。アルゼンチンは2020年までに建設する同国4番目の原子力発電所は原子炉2基を備え、1基はカナダで開発された原子炉のCANDU炉であることが決まっていたという。 ********** ◆解説◆  中国とパキスタンの関係は良好だ。その背景には中印、印パの緊張関係がある。中国とインドは領土問題を抱えており、1962年には中国軍がインド側に軍事侵攻する事態まで発生した。両国は現在、関係の安定と推進を唱えているが、信頼関係が完全に成立したとは言い難い状況だ。  印パ両国も対立している。その発端は、英植民地からの独立時のヒンズー教住民、イスラム教住民の対立だ。両国間では1947年、65年、71年に第1-3次印パ戦争が発生し、99年にも軍事衝突があった。中国がパキスタンと親密な関係を構築したのは、インド牽制(けんせい)が大きな目的だ。  中国とアルゼンチンに、それほど密接な利害関係はない。しかし中国は「植民地反対」の立場から、「フォークランド諸島は本来、アルゼンチン領」との立場をとり続けている。同諸島を領有する英国を強く非難するなどはしていないが、中国国内では「フォークランド」ではなくアルゼンチン側呼称の「マルビナス」を使っている。  同問題についての中国の姿勢は、尖閣諸島なども絡めて、「世界には正しい領有権を無視した島の不法占拠問題が存在する」とアピールする狙いもあるとされる。(編集担当:如月隼人)
 中国は原子力発電容量を2020年までに58ギガワットに引き上げる計画だ。最終目標は70-75ギガワットで、米国に次ぐ世界第2位の原発大国となる方針だ。中国は一方で、原子力発電施設に輸出にも熱心だ。2月になり、パキスタンで原子力発電所6カ所の建設を請け負い、アルゼンチンには原子炉輸出が決まったと報じられた。
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2015-02-13 15:30