サラリーマンの3人に1人が“仕事うつ”、回避のカギは休憩の質

  「仕事うつ」の回避・解消には「質」の高い休憩が重要――働き盛りのサラリーマンの3人に1人が、仕事が原因で気持ちが沈みやすくなる“仕事うつ”を自覚していることが、トレンド総研の調査で明らかになった。精神科医の名越康文氏は、「仕事中のこまめな休憩は、『時間の長さ』よりも『質の高さ』がポイントであり、ちょっとした体操をしたり、缶コーヒーを飲むなど、仕事中とは異なる刺激を与えることで、気分をしっかり切り替えることが有効」とアドバイスしている。(画像提供:トレンド総研)   トレンド総研が実施したアンケートは、都内勤務(オフィス勤務)の男性会社員300名(30代:150名、40代:150名)に、2013年8月1日-8月5日にインターネットを使って実施した。   アンケートでは、全体の73%が「普段、仕事が忙しいと感じる」と回答。そして、68%が「仕事が楽しくないと感じることがある」と回答し、「仕事に行き詰まりを感じることがある」と回答した男性も55%と過半数を占めた。さらに、「自分が“仕事うつ”だと感じることはありますか?」と聞くと、36%が「ある」と回答し、男性会社員の3人に1人が「仕事うつ」を自覚しているという結果になった。   「仕事うつを自覚しているグループ」は、「十分に休憩がとれていると思いますか?」という質問に対して「十分に休憩がとれている」と回答した人が38%にとどまり、「仕事うつを感じないグループ」では68%が、「十分に休憩がとれている」と回答するなど際立つ違いがあった。   さらに、「休憩満足度」についても、「仕事うつを自覚しているグループ」で、「(休憩に)満足している」という回答は40%で、「仕事うつを感じないグループ」の67%とは大きな差異があった。   仕事中の「休憩」事情について聞くと、休憩の合計時間は全体平均で「36.1分」。理想の休憩時間は平均で「61.5分」で、現実との大きなギャップがあった。ただ、1日あたりの休憩時間は、「仕事うつを自覚しているグループ」の平均が「37.0分」で、「仕事うつを感じないグループ」は平均「34.7分」であったことから、休憩時間の「長さ」より、むしろ、その「質」の方が重要であることが推察される。   一方、休憩をとることの重要性は、「仕事うつ」の自覚有無に関わらず、多くのサラリーマンが認識していた。「仕事において休憩は必要だと思いますか?」という質問には、97%が「そう思う」と回答。「休憩をとることは、仕事の行き詰まりを解消する上で有効だと思いますか?」という質問にも、86%が「そう思う」と回答している。   そこで、実際の「休憩」について聞くと、「休憩することが多い場所」は、「自分のデスク」が69%でトップ。自分のデスクなどで仕事をしながら休憩する「ながら休み」が61%を占め、本音では「会社の外(喫茶店など)」で休憩したいものの、休憩に専念した休みがとれているサラリーマンはわずかしかいないこともわかった。   また、「仕事中に休憩としておこなっていること」を複数回答で聞くと、「飲み物を飲む」(80%)がトップで、「インターネットをする」(60%)、「ガムやあめ、菓子などを食べる」(43%)、「周囲の人と話す」(38%)などが上位になった。   休憩中に飲む物は、「コーヒー」(57%)がトップで、「緑茶」(31%)、「ミネラルウォーター」(19%)、「炭酸飲料」(15%)を大きく上回った。また、よく飲むコーヒーのタイプとしては「缶コーヒー」(49%)が圧倒的に多く、「週に3日以上」飲んでいる人も39%を占め、休憩中には「缶コーヒー」が定番アイテムになっている。   ちなみに、職場で缶コーヒーを飲む理由は、「気分転換のため」(66%)、「眠気覚ましのため」(38%)、「リラックスするため」(34%)、「集中力を回復し、仕事の能率を高めるため」(27%)などという回答が上位を占めた。   このような調査結果に対し、精神科医の名越氏は、「30-40代は、“働き盛り”といわれる一方、目標を失ったり、行き詰まりを感じやすくなるタイミングでもあります。仕事をバリバリやればやるほどむなしくなり、『こんなに働いて何の意味があるのだろう』と、“アイデンティティ障害”の状態になってしまう」と、同世代の置かれやすい状況を解説している。   このため、「気分が落ち込んでいる時は、仕事から一時的に離れて、気分を切り替えることが非常に重要になってきます」とアドバイスする。「50分間思い切り集中して仕事をしたら、その後は5-10分休息をとる、というのが理想的」とすすめている。   そして、休憩は「長さ」よりも「質」の方が重要と指摘し、「いかに仕事の合間の休憩で、気分をしっかり切り替えられるかという点がポイントになる」として、「気分を切り替える上では、仕事中とは異なる刺激を与えると良いでしょう」という。   名越氏がすすめるのは、ひとつには「ちょっとした“体操”」。「肩甲骨をゆっくりまわして動かしたり、背中に手をまわして合掌をしたり。また、足首を左右に10回まわすだけでも、かなりの筋肉を使ってリフレッシュします」と提案している。   また、「飲み物を飲む」事に対しても、「飲み物の味や香りが気分を変えてくれて有効です」と解説。特に、今回の調査で回答の多かった「缶コーヒー」については、「香りが気持ちをリラックスさせてくれるほか、苦味や甘さなどの味覚が、気分の切り替えにつながります。ちなみに、“苦味”は、味覚のなかでも『過去を想起させる』味だと思います。コーヒーの場合は苦味の中に甘味もあり、『あの時は辛かったけれども、頑張ってよかった』という昔の記憶を思い起こさせ、自分の現在と過去をつなげてくれるのです」と語っている。(編集担当:風間浩)
  「仕事うつ」の回避・解消には「質」の高い休憩が重要――働き盛りのサラリーマンの3人に1人が、仕事が原因で気持ちが沈みやすくなる“仕事うつ”を自覚していることが、トレンド総研の調査で明らかになった。精神科医の名越康文氏は、「仕事中のこまめな休憩は、『時間の長さ』よりも『質の高さ』がポイントであり、ちょっとした体操をしたり、缶コーヒーを飲むなど、仕事中とは異なる刺激を与えることで、気分をしっかり切り替えることが有効」とアドバイスしている。(画像提供:トレンド総研)
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2013-12-16 13:45