「炊飯器」求めて日本へ・・・中国製造業界の「痛み」を暴露

中国の金融経済情報サイトの和訊網は16日、「国民が日本に行き争って炊飯器を購入、中国製造業の痛みを暴露」と題する論説を掲載した。中国で製造業の連鎖倒産が発生していることも指摘し、政策を調整し、刷新を促す環境を作らないかぎり、中国は「神業パクリ大国」の立場にとどまり続け、経済構造の改善などは「絵に描いた餅」と主張した。
同論説は経済評論家の呉暁波氏が1月に発表した論説を受けてのものだ。呉氏の論説は、日本旅行をする中国人が、洗浄機能付き便座や炊飯器などを争って購入することに注目し、どのような産業分野でも、「技術と理念と刷新」により繁栄がもたらされると主張した。
呉氏の論説に刺激され、中国では大量の文章が発表された。多くは呉氏の主張を肯定し、自国の製造業の問題点を指摘した。
和訊網に掲載された論説も、呉氏の論調を肯定した上で、中国の製造業界では連鎖倒産も発生していると指摘。例として、浙江省杭州市を拠点にしていた聯建科技が2014年12月に倒産したあおりで、広東省で同社に関係のあった企業2社が倒産したと紹介した。聯建科技は携帯電話の部品を製造しており、アップル社にもiPhone用の液晶モニターなどを供給していた。
同論説によると、中国では2月19日の春節(旧正月)が近づくにつれ、倒産件数が増加した。春節前に給料や他社への支払いを行わねばならず、資金繰りがつかなくなったことが原因という。
経営危機は家電、IT関連業界だけでなく、眼鏡、靴、マッチなど、しばらく前まで中国が圧倒的な強みを見せたジャンルでも深刻だ。かつては春節時に1週間の休暇しか出さなかった靴工場が、今年の場合には1カ月の長期休暇とした例などもあるという。
中国にも世界的に見て高水準な製品を生産している企業はある。しかし全体としては、「ローエンド製品」が圧倒的に多い。その結果、人件費などのコスト面で有利な東南アジアなど新興国の企業との競争が激化した。
高品質の部品を世界的ブランドに供給する場合も「薄利構造」を免れない。国務院(中国中央政府)参事室の姚景源特約研究員は、中国国内で生産されるiPhoneについて「利益の49%は米国が持ち去る。日本は30%以上、韓国も十数%を取る。中国に残されるのは3.93%だ」と指摘した。
論説は、「中国共産党・政府が政策を調整し、知的財産権を保護する作業をしっかりと行い、刷新者に利益を提供し、偽製品や粗悪製品に打撃を与えること」が必要と指摘。
さらに、「(技術などの)革新に有利な環境を作らない限り、中国は『神業パクリ大国』の立場にとどまり続け、経済構造の改善などは『絵に描いた餅』」と主張した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国の金融経済情報サイトの和訊網は16日、「国民が日本に行き争って炊飯器を購入、中国製造業の痛みを暴露」と題する論説を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-02-17 10:30