中国不動産業界に新たな試練! 「労働人口」が減少へ=中国メディア

 広東省広州市で発行される羊城晩報によると、中国の不動産業界は2015年、新たな試練にさらされることになる。新たな試練とは、20-64歳の労働人口が減少に転じることだ。減少速度は日本を上回るようになるという。  中国証券会社の方正証券の蘇剣首席マクロ研究顧問は、「労働力とは経済成長のエンジン」と説明。日本と欧州は、人口が増加から減少に転じる「折り返し点」と前後して、経済危機に見舞われたと論じた。蘇首席顧問は「衝撃が特に大きかったのは不動産分野だった。例えば日本では、1992年に人口の折り返し点を迎えた後に不動産バブルが破裂して、地価が大幅に下落した」と論じた。  中国ではこれまでにも「不動産価格が下落に転じる」と叫ばれたことが何度かあった。しかし下落局面はいずれも短期的で、不動産下落の主張は「オオカミ少年」とも言われるようになった。  しかし、2014年半ばに始まった全国規模の不動産価格下落は、規模も大きく長期にわたっている。そのため、「今度は、オオカミが本当に来たのでは?」との声も上がっている。  現在の不動産価格の低迷は過去のものとは違い、引き締めなど政策の影響により発生したものではない。むしろ、不動産価格の低迷を受け政策が調整せざるをえない状況だ。しかも、資金不足が本質的な原因ではない。業界における資金不足の問題は深刻であるが、需要があれば資金の調達は可能なはずだ。その需要に力がない。  記事は、中国の不動産市場が過去10年間「獰猛な成長」を続けてきた土壌は「人口ボーナス」であり、その「人口ボーナス」が徐々に消失してきたと主張した。  人口が減少に転じた時に出現するのが、労働力不足と実需の減退だ。いずれも中国で実際に発生している。  記事は、女性の3分の2が20-29歳の間に出産すると説明し、2011年に1億1500万人だった該当人口は2035年までに6600万人に激減すると指摘。2015年に発生した20-64歳までの労働人口の減少の速度は日本を追い越すと説明した。  記事は、中国の不動産業界にとっての「史上最大の逆風」が到来するかもしれないとの見方を示した。  実際問題として、多くの都市では「住宅物件が余る」状態が発生するのは必然となる。だが、個別の都市については「人口吸収力」が大きければ、不動産価格を上昇させる原動力になると指摘。  記事は、「人口吸収力」を示す重要な目安になるのが人口流入量と主張。人口流入量は常住人口から戸籍人口を減じた数で、2010年の人口調査によれば、都市別に上海市(953万5000人)、北京市(771万5900人)、広東省深セン市(755万5900人)、同東莞市(643万1800人)の順になっている。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
広東省広州市で発行される羊城晩報によると、中国の不動産業界は2015年、新たな試練にさらされることになる。(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
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2015-02-17 16:00