メンテナンスフリーのTannusソリッドタイヤ、日本での本格販売を開始

パンクをしないメンテナンスフリーの自転車用タイヤとして注目されているTannus(タンナス)のソリッドタイヤのニューモデルが2015年2月、いよいよ本格発売された。Tannusのニューモデルは、ソリッドタイヤの欠点とされてきた弾性(硬すぎる)を大幅に改善し、通勤・通学、買い物利用等の日常利用や「ポタリング(散歩的なサイクリング)」には何ら支障を感じないタイヤに仕上がっている。約120年におよぶ空気入りタイヤに代わる画期的な新商品「ソリッドタイヤ」の普及元年になるのか、Tannusの新商品に対する市場の評価が注目される。(写真は、2月に発売されたTannusソリッドタイヤのニューモデル)
現在、自転車・自動車用のタイヤとして一般的な空気入りタイヤ(ニューマチックタイヤ)は、約120年前に現在のミシュランやダンロップが相次いで開発に成功し、それまでの車輪の外周にゴムを貼っただけのタイヤと比較して走行時の快適性を大幅に改善する画期的な技術として、瞬く間に世界の市場を席巻した。ただ、ニューマチックタイヤはパンクのリスクがあり、また、空気がゴムを通り抜けてしまうために定期的な空気注入等のメンテナンスが必要だった。このため、パンクをしないメンテナンスフリーのタイヤとして、空気を入れないソリッドタイヤの研究・開発が進んできた。
ソリッドタイヤとしての課題は、弾性(乗り心地)の改善にあった。空気入りタイヤのクッションの効いた乗り心地を、走行時の摩擦熱に耐える素材で実現することが課題だった。この摩擦熱は、車輪の転がりを測る「転がり抵抗」にも関係してくる要素で、既存のソリッドタイヤには、「転がり抵抗が強い(こいでいて重い)」という評価が一般的で、普及が進まなかった。
Tannusでは、ソリッドタイヤの素材に、「支えるポリマー」と「弾性のあるポリマー」を融合・バランスさせた「Aither」という特殊ポリマーを使うことで、乗り心地の良い、かつ、走行時の摩擦熱にも強いタイヤ素材を開発した。そして、2月に発売した新モデルでは、一定の弾性を確保した上で、350kgの体重をかけて時速50kmで走行しても、摩擦熱で「転がり抵抗」が急に大きくなる(減速する)ことがないことを実証実験で確認している。
時速50kmという速度は、サイクルスポーツで加速した場合の速度に相当する。ツール・ド・フランス等のロードレーサーの最高時速が70kmといわれているため、そのレベルのスピードでは「こいでいて重くなる」という抵抗を感じるだろうが、日本の公道を走行する際には時速70kmという速度ではほとんど走らない。まして、体重350kgという人もほとんどいないため、Tannusの新モデルは、日常的な自転車の使用には、「転がり抵抗」で不自由を感じることはなくなっている。
「乗り心地」については、個人の感覚による部分が大きいため、Tannusでは新モデルの発売に合わせて全国各地での試乗会を予定している。実際にTannusのソリッドタイヤが、どの程度の乗り心地を実現しているのか、実際に体験してほしい。
タイヤ価格については、一般の空気入りタイヤと同額水準の1本4800円(税別)から。現在、Tannusタイヤを装着するには、技術指導を受けた全国約150カ店の自転車販売店に限られているという制約はある。また、日本における輸入代理店のEVERNEW社では、購入希望者に自転車の車輪を送ってもらい、「Tannusタイヤ」を装着して送り返すというサービスも提供している。
ソリッドタイヤは、一度装着すると、空気入れなどのメンテナンスの必要がなく、パンクで自転車が乗れなくなるという心配もなくなる。新しい時代を開くタイヤとして、今後の普及が注目される。(編集担当:徳永浩)
パンクをしないメンテナンスフリーの自転車用タイヤとして注目されているTannus(タンナス)のソリッドタイヤのニューモデルが2015年2月、いよいよ本格発売された。(写真は、2月に発売されたTannusソリッドタイヤのニューモデル)
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2015-02-19 11:00