大和住銀投信投資顧問「タフ・アメリカ」、米国好配当株やREITなどとドル建て債券への分散かつ機動的な投資で安定的なリターン獲得

大和住銀投信投資顧問が設定・運用する「タフ・アメリカ(為替ヘッジなし 毎月決算型)」は、株式と債券に分散投資するバランス型ファンドの中で、モーニングスター ファンド オブ ザ イヤー2014で最優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドの特徴と運用について、大和住銀投信投資顧問の常務執行役員商品担当の村松靖氏(写真・左)と、ニューバーガー・バーマン取締役投資運用部長マネージングディレクターの幾嶋崇氏(写真・右)に聞いた。
――ファンドのコンセプトと特長は?
村松 NISA(少額投資非課税制度)のスタートにあたって、5年間の運用期間をターゲットとして、安定的に収益が積み上がっていくファンドを提供したいと考えました。株式と債券に分散投資を行い、かつ、市場環境の変化に応じて株式と債券への投資比率を機動的に変更することで資産の安定成長を図っていきます。
また、このファンドでは、株式ポートフォリオは世界の好配当株式やREIT等に投資しインカムゲインの獲得をめざすとともに、債券ポートフォリオでは主としてドル建ての幅広い種類の債券に投資します。そして、株式や債券の、それぞれのポートフォリオの中でも機動的な銘柄入れ替えを行うことによって、それぞれの資産クラスで市場平均を上回る運用をめざします。
株式や債券の運用、また、アセットアロケーション(資産配分)の変更については、米国に本拠を置くニューバーガー・バーマン・グループが実質的に行います。
アメリカ市場は、ITバブルの崩壊や9・11同時多発テロ、リーマンショックなど、幾多の危機を乗り越えて、たくましく復調している、打たれ強い市場です。当ファンドは、まさしく「タフ・アメリカ」というファンド名称のとおり、「価格が下落してもたくましく復活する」というタフなアメリカ市場をイメージさせるような運用成果をめざしています。
――運用の再委託先としてニューバーガー・バーマンを選んだ理由は?
村松 運用の委託先を検討する際に、様々な会社をリサーチし、デューデリジェンスを行ったのですが、その中で、ニューバーガー・バーマン社はもっとも活気のある会社と感じられました。株式や債券、通貨戦略など、それぞれの分野に専門家集団がおり、過去の運用成果は素晴らしい内容でした。「タフ・アメリカ」の運用では、アセットアロケーション・委員会の決定等に基づいて資産の配分比率を決定していますが、2003年から10年以上にわたるパフォーマンスも検証した結果、この委員会での議論の内容や意志決定のプロセスも素晴らしい内容であると評価できました。
また、1939年創業で75年以上の運用実績のある独立系運用会社であり、従業員が株式を保有する運用会社として、外部の影響を受けずに運用に徹する環境が整っていることにも魅力を感じました。まさに、運用のプロ集団として信頼のおけるパートナーであると考えています。
――2014年のトータル・リターンは21.45%と、類似ファンドの平均を上回り、トップクラスの運用成績になりました。好成績につながった要因は?
幾嶋 2014年は、相対的な魅力度が高いとの判断から、株式ポートフォリオへの投資比率の引き上げを行いました。結果的に株式ポートフォリオは年を通じて債券ポートフォリオを上回る堅調なパフォーマンスとなったことから、資産配分効果により追加リターンを獲得しました。
また、債券ポートフォリオでは、資産配分および金利リスクを機動的に調整していますが、米国金利の短期的な上昇リスクは低いとみて一定程度の金利リスクを維持しました。実際に、債券市場が上昇(金利低下)したことから、安定したパフォーマンスを達成しました。
全体の資産配分の効果(トップダウン)に加え、株式や債券ポートフォリオ内の銘柄選定(ボトムアップ)双方からリターン獲得追求できる点も当ファンドの強み・特長であると考えています。
なお、トータル・リターン21.45%は、為替ヘッジなしコースのリターンで、2014年10月の日銀追加緩和によって円安が一段と進んだことによる為替変動の影響が強く出ています。ドル建ての運用成績は、年率6%程度の成長を実現しています。
――「タフ・アメリカ」の今後の運用環境を、どのように見ていますか?
村松 今後は、米国の金利が緩やかに上昇していく局面になると考えています。ここもとの量的緩和策の終焉を手掛かりに、米国に回帰を強めていた世界の資金の集中は、徐々に解消に向かうことになるでしょう。米国がゼロ金利を終える過程では、米国の株価上昇の頭を抑えられることも考えられますが、ファンドでは市場環境に応じて株式と債券のバランスを取りながら運用するため、運用成績が米国の金融政策の変更によってダメージを受けることはないと思います。
幾嶋 ファンドは、流動性が高いドル建て資産で、株式の配当金や債券の利子等のインカムを得ながら安定的な収益をめざす運用を行っています。特定のマーケットや特定のイベントに依存するという運用ではありません。従いまして価格変動リスクには強い運用を行っていると考えています。
資産配分の見直しは、原則四半期ごとに開催されるアセットアロケーション委員会の決定に伴って行うほか、月次、日々でも適宜見直しが可能な体制を採っています。また、株式や債券のポートフォリオの中では、日次ベースでポートフォリオの調整および見直しを行っています。
――ファンドの活用方法としてアドバイスは?
村松 コアファンドとして、長く持っていただけると思います。「タフ・アメリカ」には4つのコースを用意しました。毎月分配金をお支払いする毎月決算型で為替ヘッジの「あり」と「なし」、また、分配金を再投資して資産の成長をはかる年1回決算の資産成長型で為替ヘッジの「あり」と「なし」があります。
NISAのスタートに合わせて投信各社は、「資産成長型」の品揃えを拡充しましたが、必ずしも資金の獲得に成功したとは言えませんでした。その中にあって「タフ・アメリカ」の資産成長型は約100億円の残高にまで拡大し、運用のコンセプトが投資家の方々に理解していただいた成功事例だと思っています。
2014年の運用成績には、為替の円安要因が大きく寄与していますが、為替相場も一方的に円安が続くと決まったものではありません。為替が円安局面から円高に転換したと感じられたら、「為替ヘッジなし」から「為替ヘッジあり」にコース変更をしていただくと、為替変動による値下がりリスクを回避することができます。
米国に投資するバランス型ファンドは、従来は米国債券に主に投資するタイプのファンドが多かったのですが、「タフ・アメリカ」は、債券に加えて「好配当株式」や「REIT」など、配当収入が期待できながらも、株式市場の値上がりにも追随する資産を保有しています。この点でも、長く保有していただいて資産形成にご利用いただけると思います。
幾嶋 インカムゲインのニーズに応えながらも、幅広い資産に分散して投資することができ、かつ、為替と分配方針の異なる4つのコースにより、投資家の方々の多様な資金ニーズにお応えできるファンドになっていると思います。
【ファンドの基本情報】
ファンド名:タフ・アメリカ(為替ヘッジなし 毎月決算型)
設定日:2013年8月28日(毎月22日決算)
信託報酬:年1.809%(税抜1.675%)
販売手数料:上限3.24%(税抜3.0%)
騰落率(2014年12月末現在):設定来34.7%、過去1年:21.5%
(編集担当:徳永浩)
大和住銀投信投資顧問が設定・運用する「タフ・アメリカ(為替ヘッジなし 毎月決算型)」は、株式と債券に分散投資するバランス型ファンドの中で、モーニングスター ファンド オブ ザ イヤー2014で最優秀ファンド賞を受賞した。(写真は、大和住銀投信投資顧問の常務執行役の村松靖氏<左>と、ニューバーガー・バーマン取締役の幾嶋崇氏<右>)
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2015-02-25 10:45