観光庁の観光事業創出支援、「タビイチ グランプリ」に北海道別海町「女子旅」を選出

 国土交通省観光庁が「観光地ビジネス創出の総合支援事業」として取り組んでいる「タビの産直イチ」プロジェクトは2015年2月26日、東京・秋葉原のベルサール秋葉原で、全国45地域が提案する新しい“タビ”から優秀賞を決定する「タビイチ グランプリ」表彰式を開催した。表彰式は、「2013年度から2年にわたって取り組んできた『タビの産直イチ』の総決算」(観光庁次長の山口裕視氏)と位置付けられるイベント。グランプリ(総合部門1位)に北海道の別海町観光協会が提案した“プレミアム女子旅”を選出した他、4部門で延べ11地域を表彰した。なお、会場のベルサール秋葉原では、グランプリに参加した45地域と、旅行業者との間での商談会を2月27日まで2日間にわたって実施する。(写真は、「タビイチ グランプリ」の表彰者。前列の右端が環境庁次長の山口裕視氏。前列右から2人目がグランプリを受賞した別海町観光協会の代表者)  観光庁の山口次長は、昨年の訪日観光客が1341万人に達し、年間消費も2兆円を超えるなど、「観光事業に社会的な関心が高まっている」としながらも、「訪日観光客の観光ルートはいわゆる東京-関西のゴールデンルートに集中し、国内の旅行市場は厳しい状況が続いているなど、手放しで喜べる状況ではない。各地域の観光資源を再発見し、地方創生につながるような観光資源の開発は重要な取り組み。2020年に2000万人の訪日観光客を呼び込むという目標に向け、今回のグランプリをきっかけに、発展的な取り組みを期待したい」と、プロジェクトの意義を語った。  「タビの産直イチ」は、「今までにない観光地の魅力開発と旅行商品化を推進する」という目的で、全国の地域に呼びかけて2013年度にスタート。2013年度は、官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業として78の観光地が「日本タビカレッジ」に参加。モニターツアーの実施や地域の情報、お得な旅情報の発信などを行った。  2014年度は、そこからさらに飛躍を遂げたいと考える45の観光地が、「日本タビカレッジ」による「学びの場」から「実践の場」に活動をステージアップさせ、地元のイチ番とっておきの“タビ”情報を、旅の生産者(45観光地)が産地から旅行業者や消費者に直送する「タビの産直イチ」に取り組んできた。「タビイチ グランプリ」と商談会をセットで開催することで、2014年度の取り組みの“総決算”と位置付けた。  表彰式では、「プレゼン部門」の東日本地区1位に「中央区観光協会(東京都)」、西日本地区1位に「須磨観光協会(兵庫県)」。「一般投票部門」の1位に「福岡やるばい観光!人とまちづくり協議会(福岡県)」、2位に「カワイイ北海道ツーリズム推進協議会(北海道)」、3位に「Tatton事務局(宮城県)」。「旅行ジャーナリスト部門」の1位に「中央区観光協会(東京都)」、2位に「八ツ場ふるさとエコツアー実行委員会(群馬県)」、3位が「特定非営利活動法人 久慈広域観光協議会(岩手県)」。そして、「総合部門」の1位に「別海町観光協会(北海道)」、2位に「防府市観光資源活性化協議会(山口県)」、3位に「須磨観光協会(兵庫県)」を選出した。  選考総評として観光庁観光地域振興部観光資源課ニューツーリズム推進官の水口幸司氏は、「観光資源は地域の遺跡や景観だけではなく、復興やダムなどのインフラ、あるいは、テレビのロケ地をアピールした体験型ツーリズムなど、新しい旅のカタチがある。グランプリの別海町観光協会の取り組みは、マスコミやSNS等を通じた露出度に優れ、その裏付けとなる継続的な情報発信にも熱心に取り組まれてきた。今後、各地域において、お土産や特産品グルメ、グッズなどの開発に進み、収益をあげてさらに商品として提案内容に磨きをかけてほしい」と語っていた。  表彰式に続いて、表彰を受けた9地域が提案する“タビ”の内容について簡単なプレゼンの場が設けられた。最初に発表した「中央区観光協会」は、「本物を知る江戸まち歩き」と題して、日本橋地域が持つ江戸時代から続く“まち”としての魅力を紹介。老舗の見学や舟めぐり、着物や浴衣のレンタル着付けなど、江戸から続く日本の情緒を、旅行を企画する旅行会社のオーダーメイド型で設計・企画する案を発表した。  また、グランプリを受賞した別海町観光協会は、「日本の最東端」にあるという立地と雄大な自然、そして、“食材王国”である北海道を代表する食資源を活かし、「女子による女子のための女子旅」を提案。その他にも、2015年の大河ドラマで注目を浴びる山口県の防府市観光資源活性化協会は、方言である「幸せます」をキーワードにした「笑う」「願う」「歩く」「買う」ツアーの商品化について。須磨観光協会は、須磨海岸にイルカを泳がせて観光客とふれあいが楽しめる「自然海域でイルカを飼育するプロジェクト」をきっかけにした観光ビジネスの創出について語るなど、各地でユニークな取り組みの紹介があった。(編集担当:風間浩)
国土交通省観光庁が「観光地ビジネス創出の総合支援事業」として取り組んでいる「タビの産直イチ」プロジェクトが全国45地域が提案する新しい“タビ”から優秀賞を決定する「タビイチ グランプリ」表彰式を開催した。
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2015-02-26 20:00