ワークスアプリケーションズ、マイナンバー制度に対応した番号管理プラットフォームを全ての企業に無償で公開

 ワークスアプリケーションズは2015年2月26日、2016年1月から開始される「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」に向け、マイナンバー管理プラットフォーム(My Number Keeping System Powered by Works Applications)をクラウドサービスとして無償で公開することを決定した。同日、東京・赤坂で記者発表会を開催し、ワークスアプリケーションズ代表取締役最高経営責任者の牧野正幸氏(写真)は、「マイナンバー管理はすべての法人が対応しなければならないが、運用開始まで1年以下の期間しかないにもかかわらず、9割以上の企業が未着手という状況にある。マイナンバー管理プラットフォームは、統合型業務ソフトウェア(ERP)『COMPANY』の無償アップグレードとして開発したが、全ての企業に無償で公開することで、インフラを提供する企業として責任に応えたい」と語った。写真はワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野正幸氏。  「マイナンバー制度」は、健康保険・年金・雇用保険・生活保護等の「社会保障」、源泉徴収票・支払調書(=収入)等の「税」、そして、被災者台帳等の「災害対策」で使われる個人を特定する番号。2015年10月に12桁の個人番号が通知され、2016年1月から個人番号の利用が開始される。「マイナンバー」の利用開始と同時に、企業も源泉徴収票等の各種法定調書の作成や、健康保険・厚生年金・雇用保険の被保険者資格取得届等に、個人番号を記載し、行政機関等に提出する義務が生じる。  この個人番号は、「むやみに他人に提供することはできない」、「法律で定められた事務以外で利用することができない」という厳格な制限があり、「他人のマイナンバーを不正に入手する」、「他人のマイナンバーを取り扱う者が、マイナンバーや個人の秘密が記録された個人情報ファイルを不当に提供する」と、4年以下の懲役、もしくは、200万円以下の罰金または併科という厳しい処罰を受ける。それだけに、「マイナンバー」は、慎重に厳格に管理しなければならないとされている。  日本個人情報管理協会(JAPiCO)専務理事の内山和久氏は、「現在5001人以上の個人情報を6カ月以上保有している事業者が対象となる個人情報保護法は、6カ月以下の懲役、30万円以下の罰金となっているが、マイナンバーは全ての企業を対象とし、『特定個人情報』として数段厳しい罰則規定になっている。全ての企業は、マイナンバーが安全かつ適切に管理できるよう、安全管理措置の総点検と必要事項の対処が必須。マイナンバーの管理が不十分とみなされた企業の社会的な信用失墜は、個人情報の管理不十分と比較にならないほど大きい」と指摘している。  ところが、ワークスアプリケーションズが2014年9月に実施した調査では、回答企業(392社)の63.1%が「制度に関する情報収集中」、29.3%が「特に準備をしていない」という状況。「プロジェクトチームを設立している」(3.3%)、「具体策を検討中」(4.3%)など対策をとっている企業は合計10%にも満たなかった。そこで、牧野氏は、「マイナンバーの利用開始が2016年1月からと対応期間が短いにも関わらず、多くの企業が具体的な対応を検討していないという状況に危機感を感じた。当社のERPは、年商1000億円以上の大企業向け人事パッケージソフトとして51.2%のシェアをいただいており、家族を含めた管理人数は1000万人に達する。社会的なインフラを任せていただいているという使命感から、マイナンバー制度への対応ソフトを全ての企業に無償で公開することにした」という。  「My Number Keeping System」は、インターネットを通じてSaaSで提供する。人事データベースやバックアップファイルに個人番号情報が残らない分別管理の仕組みを構築し、同社が管理するのは暗号化された個人番号と識別IDのみ。万が一、同社のサーバーから、データが流出する事態が起きても、そのデータで個人が特定されることのないようにしている。また、出力できる帳票は、100~150程度を予定し、税と社会保障に関する事務手続きに対応する。近く、利用を希望する企業向けにWebサイトを公開し、各企業のIDを付与することで、サービスが受けられるようにする。オンラインサポートも無料で提供する計画だ。  今回の無償で提供する「マイナンバー管理プラットフォーム」は、独自開発して導入しようとした場合、数千万円~数億の費用がかかるという。また、従来の企業向けシステム開発では、大企業は安全性を重視してコストをかけた開発を行い、中小企業はコスト抑制が重視されるために安全性を犠牲にするというリスクがあった。今回のプラットフォームを利用することによって、中小企業でも大企業並みの安全な環境を整えることが可能になる。(編集担当:風間浩)
ワークスアプリケーションズは2015年2月26日、2016年1月から開始される「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」に向け、マイナンバー管理プラットフォームをクラウドサービスとして無償で公開することを決定した。
business,company
2015-02-27 16:00