今こそ日中両国企業間に「戦略的パートナーシップ」を

日本経営管理教育協会が見る中国 第348回--宮本邦夫(日本経営管理教育協会名誉会長)   外交の分野で最近よく耳にする言葉に「戦略的パートナーシップ」というのがある。この言葉を聞くにつれ、中国へ進出している大企業の工場の縮小、撤退など難しい状況が続いている日中両国企業間の今後のあり方について考え直す好材料ではないかという気がしてきた。日中両国企業間では、以下の条件を満たすような「戦略的パートナーシップ」が必要だと思うようになったのである。 1.大局的見地から物事を判断する   すでに進出している企業であれ、これから進出する企業であれ、中国のパートナー企業との良好な関係を維持していくためには、何と言っても「大同小異」を大切にすることが重要だ。換言すれば、細かいことにはこだわらず大局的見地から物事を判断しマネジメントを行うということである。大局的見地から物事を判断していけば、進むべき正しい道がはっきりと見えてくることが少なくないからである。 2.変化への対応を第一義に考える   「戦略的パートナーシップ」の「戦略」で最も重要なことは「変化への対応」である。すなわち、企業を取り巻く環境の変化に対応していくことが、経営戦略では最重要であるということである。特に、最近はあらゆる分野で予測不可能な変化が激しく起こっている。こうした変化に対して、パートナーとともにどう対応すべきかを考え、できるだけ早く実行していくことである。 3.相手の立場を理解する   次に「戦略的パートナーシップ」の重要な条件として挙げられるのが、相手の立場を尊重することである。中国企業との合弁会社がうまくいかない理由はさまざまあるが、互いの理解不足が大きな原因になっていることが多いのも事実である。つまり、お互いが相手の立場を理解していないためにマネジメントに支障が出たり、問題の解決を困難にしているということである。 4.その時点での互いのメリットを明確にする   「戦略的パートナーシップ」を維持していくには、互いのメリットを明確にすることもきわめて重要である。双方に何らかのメリットがあるからこそ合弁企業を設けたのだが、時間が経つとメリットそのものが変わっていくものである。そのため、節目ごとにその時点でのお互いにとってのメリットは何なのかを考え、それを相互に理解・認識することが肝要である。   写真は厦門に立つ日本で生まれた鄭成功像。(執筆者:宮本邦夫・日本経営管理教育協会名誉会長 編集担当:水野陽子)  
外交の分野で最近よく耳にする言葉に「戦略的パートナーシップ」というのがある。この言葉を聞くにつれ、中国へ進出している大企業の工場の縮小、撤退など難しい状況が続いている日中両国企業間の今後のあり方について考え直す好材料ではないかという気がしてきた。
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2015-03-04 11:30