【中証視点】人民元の上昇で、国内外の市場に裁定取引の好機到来

ここ最近続いている人民元の上昇傾向が大きな注目を集めている。中国の2005年7月の人民元為替レート改革以来、人民元は対ドルで絶えず緩やかな上昇が続けている。近年の大規模な資本流入によって、人民元は明らかな上昇傾向を示し、2012年10月30日以降、人民元対ドルのスポットレートは、連続で「ストップ高」となり、制限変動幅に迫っている。2012年12月3日付中国証券報が伝えた。
先般発表されたデータから、中国経済は安定した回復傾向に向かっていることがわかる。10月の中国製造業購買担当者指数(PMI)は経済の拡大・縮小の分かれ目を示す50を上回り、また10月の国内の電力使用量は前年同期比6.1%増で、上げ幅は7カ月ぶりの高水準となった。さまざまなデータが、中国経済の全体的な明るい見通しを示している。
人民元の上昇は短期的に見た場合、輸入コストが低下することで、輸入需要の拡大を促す。輸出に関しては、中国製品の価格面の優位性が失われるため、縮小を招くことになる。現在の先物市場の上場商品を見ると、いずれも輸出入問題に関連している。中国国家糧油情報センターの最新情報によると、中国の大豆の消費量は世界一であり、大豆の輸入量は世界全体の64%を占めている。また、中国の銅消費量も世界最大で、世界全体の銅需要の40%前後を占める。ゴムに関しても世界トップの輸入量を維持し続けている。このように、大豆、天然ゴム、銅などの商品における輸入依存度が、極めて高いことが分かる。
ここ数年の上記商品の輸入量が消費量に占める割合を見ると、大豆が55%、銅が47%、天然ゴムが65%以上である。人民元の上昇が、これら商品の中国国内における現物価格を低く抑えていることで、国内商品の先物価格の短期的な押し下げ材料としての働きが強く、商品先物相場は国内においては下落、国外では上昇するという別々の動きを形成する。各主要商品の先物価格と為替レートの変動には、明らかなマイナスの相関関係が存在する。すなわち、通貨の上昇あるいは下落の変動幅は大口商品の価格の下落や上昇の幅とおおむね重なっており、影響を受ける度合いも輸入量が消費量に占める割合によって決まる。輸入量が占める割合が大きければ、影響は大きく、小さければ影響もまた小さい。
市場関係者の期待と投機資金の後押しを考えると、人民元の上昇により、商品価格の変動幅は拡大し、さらには短期的に強力な単方向の動きが強まる可能性もある。人民元の上昇が、先物投資、特に差額を利得するための投機取引や裁定取引に与える影響はいずれも大きい。例えば、銅先物のクロス市場のアービトラージ(裁定取引)投資は、国内外のスポット市場の比価関係によって生じる差額を利益としている。
人民元の上昇は、短期的に商品の国内相場を押し下げる悪材料となり、強い国外相場と弱い国内相場という構図を形成する。国内外の相場で強弱の差が生じる中、投資家は国内外の市場間での裁定取引を試みることができる。つまり、米シカゴ商品取引所(CBOT)で中国大連商品取引所の大豆先物を売り、英ロンドン金属取引所で上海先物取引所の銅先物を売って、その差額利益を得る裁定取引を行うことが可能なのだ。さらに好戦的な投資家の場合、価格変動を見ながら、大豆、銅、ゴムなどの買い入れのチャンスや鋼材の売り出しのチャンスを辛抱強く待つのも一つの手法だ。しかし、長期的に見た場合、輸入量の増加が国際商品価格の高騰を招くことは間違いない。そして、国際商品価格の上昇に国内の商品価格がさや寄せするため、最終的には国内外の相場は合理的な水準に戻る。
人民元為替レートの上昇には経済と政治の動きが深く関係し、中国の輸入貿易の環境に大きな衝撃と影響を与えることになるが、人民元の上昇が先物市場に与える影響で言えば、一種の媒介として間接的に中国の商品先物価格に影響するという要素が強い。商品価格の変化は、主に市場の需給関係で決められ、投機資金の商品市場への介入の度合いがあくまでも副次的要因である。(編集担当:陳建民)
ここ最近続いている人民元の上昇傾向が大きな注目を集めている。中国の2005年7月の人民元為替レート改革以来、人民元は対ドルで絶えず緩やかな上昇が続けている。近年の大規模な資本流入によって、人民元は明らかな上昇傾向を示し、2012年10月30日以降、人民元対ドルのスポットレートは、連続で「ストップ高」となり、制限変動幅に迫っている。
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2013-12-16 16:45