ドル/円の昨年12月高値(121.847円)が長期トレンドの分岐点=外為どっとコム総研

1ドル=120円を巡る攻防が続いているドル/円相場は、長期トレンドを見通す上でも重要な分岐点を迎えている。外為どっとコム総合研究所の研究員、川畑琢也氏は、「2011年10月を起点とする上昇トレンドは今年3月で41カ月目を迎え、1971年以降で最長記録に並ぶ。昨年12月高値(121.847円)を抜けて上昇トレンドの継続が確認されると、今回のドル高局面は歴史的な長期上昇トレンドになる」と、その帰趨を見守っている。ドル/円の46週サイクルが次のボトムを迎える6月~8月までに12月高値を超えることができなければ、1ドル=110円をめざす下落トレンドに転換する可能性もあるという。写真は外為どっとコム総合研究所の研究員、川畑琢也氏。
――ドル/円は、1ドル=120円になかなか乗せられず、今年2月以降は1ドル=118円~120円でのもみ合い相場となっています。ドル/円の動きが転換するポイントは?
現状は昨年夏からの大きな上昇トレンド後のもみ合い過程にあります。2014年1月から7月まで続いた概ね1ドル=101円~105103円のもみ合いが8月にドル高に転換し、10月末の日銀の量的緩和の追加によって上昇が加速。12月には1ドル=121.847円の高値を付けました。この間の上げ幅は約21円になります。当面の相場の行方は、この昨年12月高値を超えられるかどうかがポイントになります。
12月高値を超えられると、サイクル面では「ライトトランスレーション(サイクルの最高値がサイクルの中間地点を過ぎてから出現する)」が予想され、強気相場が継続することで、1ドル=120円~130円のレンジに進むことも期待されます。
12月高値を超えられなければ、サイクルの前半に高値がくる「レフトトランスレーション」が出現し、これまでのドル上昇トレンドの転換を意味することにもなりそうです。
長期のトレンドをみると、2011年10月安値(75.320円)を起点とする上昇トレンドは、今年3月で41カ月目を迎え、1971年以降で過去最長(95年4月~98年8月)に並びます。これを超えて歴史的な上昇が続くかどうかの分岐点にあたりますので、昨年12月の高値を超えるかどうかは、重要なポイントといえます。
ちなみに、週足のサイクルは、46週サイクルの流れでみると、昨年10月13日の週をボトムに始まったサイクルが、2015年6月~8月に次のボトムが来ることが考えられます。この間に、1ドル=121.847円を超えられるかどうかを見守りたいと思います。
1ドル=121.847円を抜けた後の上値抵抗は122円~124円にあります。1998年8月高値(147.660円)から2011年10月安値までの上値抵抗線は現在122.710円の水準にあり、2007年6月高値の124.120円も意識される抵抗ポイントになります。
一方、下値支持は1ドル=115円ですが、ここを下回る場合は、昨年10月末と11月初めにマドを開けて上伸した1ドル=112.470円~112.567円のマドを埋めにいくことも考えられます。また、昨年2月安値8月以来の上昇幅の2分の1押しである111.301円など、長期的に1ドル=110円をターゲットにした下押し局面もあり得ます。
――豪ドル/円は2月3日に一時的に1豪ドル=90円割れとなってから出直ってきています。当面の豪ドル/円を見通すポイントは?
1豪ドル=90円割れで目先の底打ち感が出ていますが、現状では力不足です。週足の一目均衡表の基準線が位置する1豪ドル=96円を突破できるかがカギです。この水準は、日足の200日線が位置していますので、ここを突き抜けることができれば、1豪ドル=100円台の回復も期待できます。100円という水準は、過去20年間の高値水準にあたるので、当面の目標水準になるでしょう。
反面、1豪ドル=96円の回復が困難という見方が広がるようだと、再び90円割れに傾くこともあるでしょう。この90円という水準は、リーマンショック後の2009年から続く上昇トレンドの下値支持線にあたります。したがって、終値で1豪ドル=90円を下回れば、1豪ドル=90円~105円のレンジ相場が下方向にシフトして、1豪ドル=71円から90円のレンジに動く可能性があります。
当面は、1豪ドル=90円~96円のレンジ相場を予想しますが、上値と下値のどちらにブレイクするかに注目していきたいと思います。
――その他の通貨ペアで注目しているのは?
ユーロ/ドルが1ユーロ=1.18ドル~1.50ドルのレンジを下抜け、長期下落トレンドに入った可能性があります。今年1月の安値(1.10977ドル)を割ると、1ユーロ=1.08ドル前後まで下落する可能性があります。
この1ドル=1.08ドルという水準は、2000年の安値(0.82300ドル)から、2008年の高値(1.60380ドル)の上げ幅の3分の2押しの水準になります。
一方、反発した場合は、週足の一目均衡表の基準線が位置する1ユーロ=1.15ドルまでになると思います。たとえ1.15ドルを抜けても、それまでの支持線であった1ユーロ=1.18ドルの抵抗は強いと考えられ、上値は限定的です。(編集担当:徳永浩)
1ドル=120円を巡る攻防が続いているドル/円相場は、長期トレンドを見通す上でも重要な分岐点を迎えている。
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2015-03-05 14:00