中国7%成長の達成難度増し金融政策による下支えも用意=大和総研

 3月5日に始まった中国の全国人民代表会議(全人代)は、初日の李克強首相による政府活動報告が行われ、経済成長率の目標を7.5%前後から7%前後へと引き下げるという方針が示された。大和総研経済調査部のシニアエコノミスト齋藤尚登氏は3月5日にレポート(全3ページ)を発表し、「成長目標を引き下げたが、その達成の難易度は増している」という見解を示した。レポートの要旨は以下の通り。 ◆2015年3月5日~15日の予定で第12期全国人民代表大会(全人代=日本の国会に相当)第3回会議が開催される。初日の5日には李克強首相による政府活動報告が行われた。注目された2015年の政府経済成長率目標は7%前後と、2012年~2014年の目標7.5%前後から引き下げられた。 ◆昨年秋口までのような分野を限定した下支えでは、増大する景気下振れリスクに抗するのは難しくなっており、2014年11月22日の2年4カ月ぶりの利下げと2015年3月1日の追加利下げ、そして2015年2月5日の全ての銀行を対象とした預金準備率引き下げ、といった具合に、金融政策の下支えの対象は経済全体へと範囲が広がっている。 ◆全人代の政府活動報告では、(1)2015年の財政赤字を前年比で2,700億元多い、1兆6,200億元(約31.4兆円)とし、財政赤字のGDP比を2014年の2.1%から2015年は2.3%に拡大する。うち地方財政赤字(地方債発行額)は前年比1,000億元多い、5,000億元とするほか、特別債を適宜発行する、(2)マネーサプライ(M2)増加率は前年比12%前後とするが、必要に応じて多少高くなっても構わない、とするなど、景気下支えのための政策的な余地を残すような配慮もなされている。財政・金融面での下支えによって、雇用の悪化を招くような景気下振れを回避しようとしているのであろう。(情報提供:大和総研、編集担当:徳永浩)
3月5日に始まった中国の全国人民代表会議(全人代)は、初日の李克強首相による政府活動報告が行われ、経済成長率の目標を7.5%前後から7%前後へと引き下げるという方針が示された。
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2015-03-06 08:30