「のどごし オールライト」大ヒット、機能系商品をけん引するキリンのマーケティング戦略

 「糖質ゼロ×プリン体ゼロ×カロリーオフ」の新発明として1月27日に発売された「のどごし オールライト」がヒットしている。昨年秋の「淡麗プラチナダブル」でビールメーカーの「ゼロ・ゼロ」戦争に火をつけたキリンビールから、機能系でまたも一歩踏み出したといえる「ゼロ・ゼロ・オフ」の新提案。今春から、「トクホ」、「栄養機能食品」に続く、第3の「機能性表示食品」が登場し、科学的根拠があれば食品の機能性成分の“効く体の部位”や“健康効果”をパッケージに表示できるようになることから、一段と機能系商品の開発に拍車がかかっていく見通しだ。相次ぐヒット商品を提供し続けるキリンビールは、「機能系商品」の市場をどのように考えているのか。同社マーケティング部ビール類カテゴリー戦略担当 機能系カテゴリーマネージャー主務の中川紅子氏(写真)に聞いた。 ――今年1月27日に新発売された「糖質ゼロ×プリン体ゼロ×カロリーオフ」の「のどごし オールライト」が、発売から3週間で年間目標の約2割となる100万ケースを突破する人気ですが、今年のビール業界も、発泡酒や新ジャンルにおいて機能系商品の市場は一段と拡大する見通しですか?  機能系ビール類として各メーカーが開発を競うようになったのは、ビールなどの醸造酒には痛風の原因とされるプリン体はそれほど多くはありませんが、ビール好きの方がプリン体を気にして、ビールを気持ちよく飲めないという声が高まったことなどが背景にあります。メーカー各社でプリン体をカットしたビールテイストの商品の開発を進めました。ビールよりも、発泡酒や新ジャンルの方が、素材などの面で開発に自由度が高いため、発泡酒や新ジャンルの分野で開発競争が続いています。  現在は、健康で暮らしたいというニーズが高まっています。その中で、好きな物を我慢しないで楽しみたいというウォンツにお応えする商品が、いわゆる機能系といわれる商品群です。プリン体を取り除こうとすると、一緒にうまみ成分も除去されてしまうため、飲みごたえがなくなり味がうすくなってしまいます。そこで、R&D(研究開発)の力を発揮して、プリン体などをカットした上で、「美味しい」と思っていただける味わいを実現する努力を各社が競い合っています。  新発売した「のどごし オールライト」は、「淡麗プラチナダブル」で提案した「プリン体ゼロ×糖質ゼロ」に加えて、健康を気にされる皆さんが注意している「カロリーオフ」も実現したことで、当初の予想を大きく上回る販売実績になりました。機能系商品に対する根強いニーズがあることは、このことでも分かります。まだビール類の中では小さな市場ですが、これから存在感を高める分野だと思います。 ――「のどごし オールライト」が想定以上に販売が伸びている要因は?  想定を超えたのは、リピーターが増えるスピードが非常に速いというところです。これは、「淡麗プラチナダブル」でも経験したことですが、多くのお客さまに受け入れていただいたと感じています。  「のどごし オールライト」は、「のどごし」が提供しているゴクゴク飲めて爽快という飲みやすさに加え、プリン体も糖質もゼロにし、さらに、カロリーオフと、健康に気を配る方にうれしい機能を付加しました。アルコール度数が2.5%~3.5%と低めなことも、気軽にゴクゴク飲めると言っていただける要因のひとつです。パッケージも、いつでも気軽に飲めることをアピールするため明るくポップなものにしました。  このように、低アルコールでカロリーオフという商品性から、健康意識が高い20代~30代女性にも人気があるのが特徴です。「のどごし オールライト」は発売にあたって、「ゼロ・ゼロ・オフという新発明」というキャッチコピーを使ったのですが、実際に発売すると、ゼロゼロ系発泡酒を飲んでいなかったお客様が多く手に取ってくださり、また、リピートでも購入していただけています。 ――昨年の「淡麗プラチナダブル」の発売で火が付いた「ゼロ・ゼロ」戦争は、ビール各社から「糖質ゼロ×プリン体ゼロ」の商品が競うように発売されました。今回の「のどごし オールライト」は、「ゼロ・ゼロ」が更に進化して「ゼロ・ゼロ・オフ」というジャンルに踏み込んでいます。今回も“戦争”と言われるほどに各社から機能強化した「ゼロ・ゼロ」+αの商品が続くのでしょうか?  ビール各社でいろんな研究開発が進んでいると思います。当社では、2002年に「糖質70%オフ」の「淡麗グリーンラベル」を発売して以来、「プリン体90%カット」の「淡麗アルファ」、プリン体を99%カットした「淡麗ダブル」、そして、「淡麗プラチナダブル」など、さまざまなチャレンジを行ってきました。  今回、新ジャンルで「ゼロ・ゼロ・オフ」を提案させていただきましたが、「プリン体ゼロ」という機能を実現するための製法は、使う素材が違うので、発泡酒の「淡麗」とは異なるアプローチを使っています。アルコールにカロリーがあるため、ビール系飲料で「カロリーゼロ」を実現することはできないのですが、プリン体や糖質、カロリーなどをカットする機能を付加した上で、美味しい商品を作りたいという思いで、常にお客さまの声に耳を傾け、新しい商品の開発にチャレンジしています。  また、発泡酒や第三のビールがお客様に選ばれ、その市場を成長させていくには、「美味しさ」に加えて「機能訴求」が差別化要因として益々求められると予想され、機能系市場がより活性化していくと考えております。 ――機能系商品と一口に言ってもキリンビールには「淡麗グリーンラベル(糖質70%オフ)」、「淡麗プラチナダブル(ゼロ・ゼロ)」、そして、今回の「のどごし オールライト(ゼロ・ゼロ・オフ)」と、売れている商品がいくつもあります。それぞれの商品の棲み分け・マーケティング戦略は?  「淡麗」は、ビールに近い味わいを大切にしたブランドです。その中で、「淡麗グリーンラベル」は、30代~40代の男女に人気があります。「糖質70%オフ」は、「糖質ゼロ」や「プリン体ゼロ」が出ている中にあっては、機能面での優位性はありませんが、機能系ビール類の中では圧倒的なナンバーワンのブランドです。ビールを飲んだ時の「心がホッとする」という感覚を、身体にいいものを飲んでいるという満足感とともに実感できるところから、若い方や女性に「自分が選ぶビール」として支持していただいています。  「淡麗プラチナダブル」は、40代~50代の男性が中心です。ビールが好きだけど、プリン体のことも気になるという世代の方々に強くご支持いただいています。ビールらしい味わいにこだわる「淡麗」として、美味しさや飲みごたえに徹底的にこだわり、ビールに近い満足感にお応えできているので、続けてご購入いただいているのだと思います。  一方、「のどごし オールライト」は、気がねなくゴクゴク飲める世界初の3つの機能を備えた新ジャンルとして、ビール好きに限らず多くの30代~40代の男女に受け入れていただきました。「カロリーオフ」なので、気軽に毎日飲めると言っていただいています。  キリンビールは、2002年淡麗グリーンラベル発売以来、機能系カテゴリーを牽引しているカテゴリーリーダーとして健康意識の高まりや人々のライフスタイルの変化に応える研究や技術革新により、健やかでいつまでもおいしいビールを楽しむことのできる毎日を提供し続けていきたいと思います。(編集担当:徳永浩)
1月27日に発売された「のどごし オールライト」がヒットしている。相次ぐヒット商品を提供し続けるキリンビールは、「機能系商品」の市場をどのように考えているのか。同社マーケティング部の中川紅子氏(写真)に聞いた。
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2015-03-06 11:00