中国で「不動産税」は導入されるか・・・「張子の虎」の見方も

中国では不動産税の導入が話題になっている。冷え込んだ不動産市場に悪影響を与えるとの見方もある一方で「張子の虎」で、恐れる必要はないとの声もある。中国政府・財政部の朱光耀副部長は不動産税の導入について「非常に慎重に検討中」と説明した。
時期について中国財政学会の賈康副会長は「2015-16年に立法のための手続きが始まるはずだ。遅くても2017年の全人代開催以前に法制化される」と述べた。
一方で財政部の朱副部長は「タイム・テーブルはない」、「非常に慎重に検討中」と述べ、導入時期について明言を避けた。
課税額や計算方式も不明だ。個人保有の住宅物件については「居住目的」であるはずの1軒目は非課税とし、「投資目的」と考えられる2件目からは課税との見方もあるが、定かでない。
経済ジャーナリストの劉暁博氏は不動産税の導入時期について、膨大な作業をこなさねばならず、今後1年や2年での導入は困難と説明。ただし不動産税は地方税として導入される公算で、地方政府の財政問題などもあるため、中央政府が作業を加速させることは確実という。
税率については北京、上海、広州(広東省)、深セン(同)などの住宅不足が深刻な都市では、やや高くなる可能性がある。ただし、その他の地方では低く抑えられ、庶民に対する減免措置も取られるはずという。
劉氏はその根拠のひとつとして「中国では土地の所有が認められていない」ことを挙げた。不動産開発にあたり、土地を提供するのは地方政府だ。そして売り出すのは「所有権」ではなく40-70年間の「使用権」だ。劉氏は「地租を一括払いしていることになる。高税率にすれば、人々は『二重課税』として、納得しないだろう」と説明した。
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◆解説◆
中国では「相続税」の導入も時おり話題になる。「相続税」は中国で深刻な格差問題の解消に役立てられるはずだが、いまだに導入できていない。その理由としては「税務当局による個人資産の把握が困難」、「導入すれば海外に資産を移したり、自らが移住する裕福層が激増したるする」などと推測されている。「ひそかに蓄財している政府要人や高官にとって、受け入れられるわけがない」との“うがった見方”もある。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
中国では5日、日本の国会に相当する全国人民代表大会が始まった。話題のひとつが、不動産税の導入だ。(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
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2015-03-06 13:15