【為替本日の注目点】NY株大幅安でドル反落、ユ-ロドル動き注目

 NY市場  ドル円は昨日の東京時間に122円台まで急速にドル高が進んだが、NYでは株価の急落と長期金利の低下を背景に121円を割り込むなど荒っぽい動きに。121円15-20銭で取引を終える。ユーロドルは続落。ECBの緩和策で域内の金利低下が進み、ドル高ユーロ安の流れは変わらず。一時は1.0693までユーロ安が進み、対円でも130円を大きく割り込む。  利上げ観測が強まる中、株価は大幅に反落。ドルが対ユーロで上昇したこともあり、ダウは今年最大の下げとなる322ドル安。債券相場は続伸。欧州主要国の金利が軒並み低下していることから、米国債にも資金が流入。長期金利は2.13%台に低下。金、原油はともに反落。  ドル/円 120.92 ~ 121.45  ユーロ/ドル 1.0693~ 1.0793  ユーロ/円 129.23 ~ 130.63  NYダウ -322.78 → 17,662.94ドル  GOLD -6.40 → 1,160.10ドル  WTI -1.71 → 48.29ドル  米10年国債 -0.060 → 2.131%  本日の注目イベント  中   中国 2月小売売上高   中   中国 2月工業生産   英   英1月鉱工業生産   米   2月財政収支   ドル円が荒っぽい動きを見せています。昨日の東京時間には昨年高値の121円85銭を超え、122円04銭まで上昇したドル円でしたが、NY市場では一転してドル売りが優勢となり121円を割り込む局面もありました。先週から続いているドル高センチメントは維持されているとは思いますが、一気に昨年の高値を抜いたところに、冷や水を浴びせられた格好でした。  昨日のこの欄でも触れましたが、仮にドルが売られる場面があるとすれば、米長期金利が再び2%の大台を割り込んでくるか、あるいはNY株式市場が利上げを嫌って調整色を強めるなどの状況になった時だろうと述べました。昨日は長期金利は低下していますが、それほど大幅ではありません。やはり株式市場の大幅安が「リスクオフ」につながったと観られます。  NYダウは今年最大の下げ幅となる、322ドル安で取引を終えています。ブルームバーグによると、シスコシステムズなどテクノロジー株が大きく売られ、ダウとS&P500は年初来の上昇分を失ったことになります。利上げを織り込む動きですが、ユーロドルでドル高が急速に高まっていることで、グローバルな企業活動を展開している米企業にはマイナスになるといった見方も株価の重石になったようです。  利上げのタイミングが徐々に近づいてきているのは事実ですが、これはドルにとっては支援材料となり、株式や債券にとっては悪材料になるのは想定されたことです。イエレン議長もこれまでに何度も、利上げによる市場の混乱は避けられないと、メッセージを発して来ました。冷静に考えれば、利上げは景気回復の裏返しです。今後労働市場の回復が賃金の上昇につながれば株価の反発も十分考えられます。またこれまでとは異なり、為替の動きと株価との相関が徐々に崩れていくことにも注意が必要です。  122円台まで上昇したドル円が高値から1円以上も反落したわけですが、基本はユーロドルに見られるように、「ドル高トレンド」が続くと思います。円はユーロほどの先安観はないとしても、利上げのタイミングを模索しているFRBは、ECBや日銀とは金融政策のスタンスが大きく異なります。  従って緩やかなドル高が今後も継続されると思われ、120-125円の新しいレンジに入ったと見ています。ただし来週のFOMCで6月利上げ観測が急速に後退するようだと、一旦は120円を割り込むことも十分想定されます。まずは、明日の小売売上高に注目したいところです。  本日は日本株がどこまでNY株の大幅安の影響を受けるかがポイントですが、同時に海外市場でのユ-ロドルの動きからも目が離せません。ドル円の予想レンジは、120円50銭~121円50銭といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は昨日の東京時間に122円台まで急速にドル高が進んだが、NYでは株価の急落と長期金利の低下を背景に121円を割り込むなど荒っぽい動きに。121円15-20銭で取引を終える。ユーロドルは続落。ECBの緩和策で域内の金利低下が進み、ドル高ユーロ安の流れは変わらず。一時は1.0693までユーロ安が進み、対円でも130円を大きく割り込む。
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2015-03-11 09:30