中国の戦略「一帯一路」、日本にとっても有利=中国メディア

 2015年以降の中国外交の柱のひとつとされるのが、「シルクロード経済ベルト(絲綢之路経済帯)」と「21世紀海上絲綢之路(21世紀海上絲綢之路)」を構築する「一帯一路」構想だ。中国の王毅外相は同構想を、米国によるかつての“マーシャル・プラン”とは異なると説明。中国では「一帯一路」が日本にも有利との論説も発表された。  中国の李克強首相が2014年12月に「シルクロード経済ベルト」の一部であるカザフスタンを訪問した際には、カザフスタン側が「わが国の経済で、下降圧力が急速に高まった。(中国側に)大規模なインフラ建設事業を推進し、経済を刺激してほしい」と要請した。  李首相は同国のナザルバエフ大統領と会談した際に、鉄鋼、セメント、平板ガラスの生産設備をカザフスタンに移転することを提案。双方が急きょ交渉した結果、共同で計180億米ドル(約2兆1800億円)を投じてプロジェクトを進めることになった。  中国とカザフスタンの関係強化について「中国は勢力圏の拡大を意図」との懸念も出ている。王外相は、カザフスタンとの関係強化を含む「一帯一路」について、「現代版マーシャル・プランではない」と主張。  第二次世界大戦後の西ヨーロッパの復興を目的としたマーシャル・プランは、あくまでも米国主体で、米国勢力圏の拡大との特徴があった。王外相は「一帯一路」構想について「政治の道具ではない。冷戦の発想で理解してはいけない。『一帯一路』は中国だけの“独奏曲”ではなく、各方面との共同による“交響曲”だ」と説明した。  中国メディアの和訊網は「一帯一路」について「日本にも有利」との論説を発表。物流網の整備を例として、中国からカザフスタンに向かう貨物の3割は日本製の自動車部品や電子製品で、「一帯一路」構想に基づく物流の整備が実現すれば、日本からカザフスタンまでにかかる日数がそれまでの約3週間から数日間に短縮されるなどの効果が発生すると主張した。 ********** ◆解説◆  中国は「一帯一路」について、まず隣国とのカザフスタンとの連携強化や、欧州までの鉄道便の改善を行っている。「一帯一路」では北線A、北線B、中線、南線の4ルートとその沿線の開発を目指すとされる。 北線A:北米-北太平洋-- 日本・韓国-ザルビノ港(ロシア)-琿春-延吉-吉林-長春-モンゴル国-ロシア-欧州各地 北線B:北京-ロシア-ドイツ-北欧 中線:北京-西安-ウルムチ-アフガニスタン-カザフスタン-ハンガリー-パリ 南線:泉州(福建省)-福州-広州-海口-北海-ハノイ-クアラルンプール-ジャカルタ-コロンボ-コルカタ-ナイロビ-アテネ-ベネチア (編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国では「一帯一路」が日本にも有利との論説も発表された。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-03-11 10:30