中国人が日本で爆買いした医薬品の内容と爆買いの背景

春節(旧正月)期間中の訪日中国人客の爆買いが中国においても話題になっています。中国での報道によると、訪日中国人客は、この2015年春節だけで60億人民元(日本円で1150億円相当)もの買い物を日本でしたそうです。
一方、中国商務部の発表を見ると、春節期間中の中国国内での小売売上高は、2011年から連続して伸び率が減少してきています。中国国内では、国外での中国人による爆買い状況とは異なり、高級品販売が振るわなくなっているという報道もあります。世界の高級品購入のうち半分は中国人であるも、その7割は中国国外で購入しているという中国国内報道もあります。
今回は、中国人が日本で爆買いする背景、および爆買いした商品の上位にランクする医薬品の内容と温水洗浄機能付き便座について、中国での報道内容を踏まえ紹介します。
■1. 中国人が日本で爆買いした商品ランキング
中国新聞網の報道によると、中国人が2015年の春節期間中に日本で購入したものは、人気の順に、
1位:医薬品
2位:化粧品
3位:温水洗浄機能付き便座
4位:日用品
5位:炊飯器
です。
筆者や中国駐在の日本人が日本に一時帰国したり、中国人の知人が日本に旅行する際、中国人から購入を依頼されたことがあるものとしては、デジタル一眼カメラ、ビデオカメラ、ブランド品といったものから、魔法瓶、耳かき、日本製のお菓子に至るまで幅広いものがあります。
その他、日本製の女性用生理用品も人気のようです。日本のCMで売りにしている言葉通りの効果が期待できる点が、中国女性によって好まれるようです。
■2. 日本で購入したい理由
中国人が日本で購入したい、または知人に日本で購入してきて欲しい理由としては
(1) 日本製の物は品質が良いし、偽物ではないという信頼ができること
(2) 中国は関税が高いため、日本で購入したほうがはるかに割安になるものが多いこと
(3) 円安の影響で、中国人にとって、日本で購入するほうがお得感が強いこと
(4) ぜいたく禁止令の影響により、中国国内ではぜいたく品・高級品を(心理的にも)購入をしにくい一方、海外であれば問題ないという安心感があること
という声が多くありました。
また、医薬品を含め、日本製は体にも安心であり、品質が良いこと、さらには使い勝手が良いためということもよく聞きます。
■3. どんな医薬品を買うの? 洗浄機能付き便座は本当に役立つの?
中国人が日本で購入する医薬品の内容は何でしょうか?
周囲の中国人から聞くと、子供用の薬(熱さまシートのようなものを含む)、目薬、腰痛・肩こり用のシップや塗り薬、下痢止めなどが多いようです。特に子供を持つ世代には、子供の口に入る、子供用の薬は人気が高いようです。外国製の粉ミルクの人気が高いのと同様の理由です。
洗浄機能付き便座も確かに人気のようですが、中国と日本の電源の違い、アフターサービスの問題、持ち帰り時にかさばることを理由に、本当に日本で購入すべきか疑問という報道が、ここ武漢において、日本で生活する中国人のコメント付きでされていました。
■4. 日本製の物への信頼感の高さと中国進出企業の状況
中国現地で日々、中国人と接していると、中国人の多くは、日本製品の品質に対して非常に高い信頼感を持っていることによく気付かされます。化粧品を例に挙げるとMade in Japanへの信頼に加え、たとえMade in Chinaであっても日本で購入したいという中国人女性の意見もしばしば聞きます。日本で購入したほうが、格安であることに加え、品質への信頼、偽物ではなく本物だろうという安心感が背景にあるようです。
同一メーカーの製品で、同じく中国製であっても、日本で販売しているものと中国で販売しているものは違うのではないかと思っている中国人も多いようです。上海市や広州市といった沿岸の発展都市ではない、ここ内陸都市・武漢市においても、日本製品への支持率は高いことを実感することが多くあります。
一方、中国国内景気の伸び率は以前ほどの勢いは無くしています。日本企業の中国からの撤退報道もしばしば見受けます。日本での爆買いと中国景気の低迷、日本製の物に対する信頼と日本企業の撤退。冷静に2面性のある中国の現状分析をし、今後の進路を見つめる必要がありそうです。(執筆者:奥北 秀嗣 提供:中国ビジネスヘッドライン)
春節(旧正月)期間中の訪日中国人客の爆買いが中国においても話題になっています。中国での報道によると、訪日中国人客は、この2015年春節だけで60億人民元(日本円で1150億円相当)もの買い物を日本でしたそうです。
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2015-03-11 11:30