日本の製鉄業界・・・不況でも「進化」した企業=中国メディア

 中国国営通信社である新華社系中国メディアの経済参考報網は12日、「世界クラスの製鉄企業を設立・刷新」と題した文章を発表した。筆者は日本や米国などでの活動が長い中国人ジャーナリストの楽紹延氏。文章は、世界的な製鉄不況が続いていると指摘した上で、日本の製鉄会社が、再編・開拓・革新を続け、低炭素・高効率の世界クラスの製鉄企業を築いたと指摘した。  記事はまず、2012年の新日本製鉄と住友金属工業の合併による新日鉄住金を紹介。「大なたを振るって整理に取り組み、所属する各製鉄工場における生産と、営業関係のバランスを改善した」と論じた。  合併の効果としては、過度の競争と投資の重複による浪費を減らし、人と物資をハイエンド製品の研究開発に集中させることに有利になったと評価。生産量管理、コスト削減、海外業務の整理、老朽化施設の廃棄などで、合併の効果が明確に出ていると紹介した。  新日鉄住金の誕生以前にも、日本の製鉄業界は「量の追及から質の追及への転換」、「技術刷新と高付加価値商品路線」が定着していたと紹介。日本鋼管と川崎製鉄の経営統合も紹介し、各企業/グループが研究開発を続けており、「現在のところ、高品質・高付加価値の鋼材の生産量と輸出量では日本がトップ」と論じた。   文章は、日本の製鉄会社が省エネや資源節約にも力を入れ、実績を出していると指摘。粗鋼の生産1トン当たり、中国の製鉄会社は1.5トンの石炭を必要とするが、米国の場合には1トン、日本の場合には「たったの0.6トン」と紹介した。  文章は最後の部分で、「需要が低迷しているにも関わらず、日本の鉄鋼生産量及び、製鉄企業の利益は3年連続で増加」と紹介した。 ********** ◆解説◆  中国では産業のさまざまな分野で、過剰投資やそれにともなう生産能力の過剰が問題になっている。企業間競争が厳しすぎて価格競争に走らざるをえなくなり、高付加価値商品の開発に十分な力を入れることができず、そのことが企業の収益性を悪しくするなどの悪循環も発生している。  上記論説が、日本の製鉄業界のここ数年の動きを「中国が見習うべきモデル」と認識していることは、間違いない。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国メディアの経済参考報網は12日、「世界クラスの製鉄企業を設立・刷新」と題した文章を発表した。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-03-13 11:15