野菜の効率的な摂り方ご存知ですか? 調理することで一部の栄養素の吸収率が高まる

調理した野菜を食べてますか?――成人1日の野菜摂取量の目標350g以上に対して実際の摂取量は283g(厚生労働省の2013年調査)と、日本人の野菜不足が年々深刻化している。カゴメが2015年3月に行った「野菜の摂取方法に関する意識調査」では、野菜をサラダなど生の状態で食べることに偏っているという結果が出た。野菜の摂り方について、女子栄養大学教授の三浦理代氏は「野菜は調理することで栄養素の吸収率が高まり、かさも減って結果的にたくさんの量を食べることができます。生野菜に偏らず、調理したりして、いろいろな形で野菜を食べることをおすすめします」とアドバイスしている。(写真は「野菜は調理することで、一部の栄養素の体内での吸収率が高まるという事実を知っていましたか?」という質問への回答率のグラフ)
カゴメの調査は、2015年3月3日~5日に、全国の男女1200人(15歳~69歳)を対象に実施。10代~60代まで各年代で男女200名ずつで割り付け、結果を分析した。
野菜の摂取状況は、81.5%が「野菜を摂取できていると思う」と回答したが、成人1日の野菜摂取量の目標350g以上(1皿70gの野菜を1日に5皿以上)を摂取できていると思うと回答した人は半数以下の34.9%。さらに、バランスよく栄養素を摂取するために「1日30食品を目標に」ができていると思っている人は、わずか29%という結果になった。
また、トマトや人参に含まれる栄養成分であるリコピンやβ‐カロテンは、調理(加熱・破砕)することで体内での吸収率が、それぞれ3.8倍、1.5倍に高まるという研究結果があるが、「野菜は調理することで、一部の栄養素の体内での吸収率が高まるという事実を知っていましたか」という質問には、半数以上の69.7%が「知らなかった」と回答。「生野菜は調理することで細胞壁が壊され、一部の栄養素の体内での吸収率が高まる」と正しい回答ができた人は全体の0.75%に過ぎなかった。
そして、「最も栄養が摂れる野菜の摂取方法として、最も当てはまると思うもの」を聞いたところ、「サラダ等、生野菜として」が46.6%で1位になるなど、野菜の効率的な摂り方への正しい理解が得られていないことがわかった。実際に、普段の野菜の摂り方で最も頻度の高い食べ方も「サラダ等、生野菜として食べる」が48.7%でトップだった。
一方、「野菜は調理することで、一部の栄養素の体内での吸収率が高まるという事実を知って、今後野菜は料理して食べたいと思いましたか」と聞くと、81.2%が「そう思う」と回答し、野菜の効率的な摂り方に対する理解が進むことで、サラダ等の「生野菜」としての摂取に偏らず、調理して食べることの意識が高まる可能性があることもわかった。
この調査結果について、女子栄養大学教授の三浦理代氏は、「野菜の栄養素は細胞壁に包まれており、そのままでは吸収が悪いのです。細胞壁を壊すことで栄養素の吸収率が高まります。トマトの場合は、生よりもジュースなどにした方がリコピンは3.8倍、β‐カロテンは1.5倍吸収が良くなるという研究結果が出ています。市販の野菜ジュースは、野菜を加熱・破砕してつくられており、リコピンやβ‐カロテンを効率的に補給できる重要な加工食品の一つです」と語っている。
また、「旬の時期の野菜は栄養価が高いのです。野菜の加工品は旬の野菜を使うことが多く、例えば、トマトジュース、トマトケチャップに使われている加工用トマトは、生鮮トマトと比べると、リコピンは約2~3倍多く含まれているといわれます」と、旬の野菜を摂ることの重要性も指摘した。
最後に、「野菜は調理することによって、かさが減って、結果的にたくさんの量を食べることができ、栄養素の吸収もアップするメリットがあります。しかし、熱に弱いビタミンCは調理で壊れるので、生で摂ることをおすすめします。このように野菜の食べ方は生野菜に偏らず、調理したりして、いろいろな形で野菜を食べることが大切です。合わせて、ご飯を食べ、肉、魚、大豆などからタンパク質をしっかり摂り、バランスの良い食事を心がけ、日々の健康に役立てましょう」とアドバイスしている。(編集担当:風間浩)
カゴメが2015年3月に行った「野菜の摂取方法に関する意識調査」では、野菜をサラダなど生の状態で食べることに偏っているという結果が出た。(写真は「野菜は調理することで、一部の栄養素の体内での吸収率が高まるという事実を知っていましたか?」という質問への回答率のグラフ)
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2015-03-13 13:15