【為替本日の注目点】市場はユーロ売りドル買い、原油安悪化に注意

 NY市場  ドル円はミシガン大学消費者マインドが予想を下回ったことや株安から、上値が重い展開。それでも根強い利上げ観測に支えられ、121円台半ばで推移。ユーロドルは再び下落基調を強める。FRBとECBとの金融政策の違いを背景に、1.05台を割り込み、1.0463までユーロ安が進む。  株式市場は反落。対ユーロでドル高が進んだことが重石となり、ダウは145ドル安。S&P500も12ポイント下落。債券相場は前日と変わらず。長期金利は2.11%で横ばい。金は小幅に反発。原油価格は国際エネルギー機関が、需要不足を指摘したことで、1月30日以来となる44ドル台まで下落。  2月生産者物価指数             → -0.5%  3月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値) → 91.2  ドル/円 121.14 ~ 121.56  ユーロ/ドル 1.0463~ 1.0599  ユーロ/円 126.98 ~ 127.96  NYダウ -145.97 → 17,749.31ドル  GOLD -0.50 → 1,152.40ドル  WTI -2.21 → 44.84ドル  米10年国債 ±0 → 2.110%  本日の注目イベント  欧   ドラギ・ECB総裁講演(フランクフルト)   米   3月NY連銀製造業景気指数   米   2月鉱工業生産   米   3月NAHB住宅市場指数   ドル円は121円台の攻防が続いています。利上げ観測が根強く、今週のFOMCでは「辛抱強く」という文言が外されるという見方が、徐々に市場のコンセンサスになりつつあります。一方、利上げは米株式市場にマイナスに働くことから、日本株の上昇にも関わらず、米国株が調整を余儀なくされており、これがドル円と株価との相関関係を崩し、先行きの読みを難しくしている状況です。  また、ドル円が堅調な背景にはユーロドルの動きに引っ張られている面もあります。今月に入って、ECBが量的緩和の実施に踏み切って以来、ユーロの下落が一段と加速して来ました。ユーロドルは、今月6日に節目の1.10を割り込んだばかりですが、先週末には1.04台と、約600ポイントも下落しています。  ユーロドルで、ドル高が進んでいることで、ドル円でもドルが買われ易い状況となり、これがドル円の下支えになっている面もあります。もちろん、ユーロドルでのユーロ安の方がスピードが速いため、ユーロは対円でも下落が進み、先週末には126円台後半まで「円高、ユーロ安」が進行しています。  今、通貨ペアの中で最も安全な取引は「ユーロ売りドル買い」と言われていますが、まさに市場はユーロ売りに安心しきっているようにも思えます。利益確定のユーロ買いで反発する場面もありますが、そこはすかさず売られる展開が続いています。  先週一時122円台まで上昇したドル円は、その後は下げもしませんが、米株価の下落が重石となり122円に乗せる動きも見せません。これまでにも述べて来ましたが、ドル円の上昇は緩やかなものになると予想されます。2.25%近辺まで上昇した米長期金利も、欧州の金利低下の影響もあり、伸び悩んでいます。  利上げ観測を背景に、株価が下落しても長期金利が上昇に向かえば、ドル円にとって一方的な悪材料にはなりにくいと言えますが、株価は下がり、長期金利が伸び悩むようだと、ドル円の上昇を抑制することにもつながりかねません。  そしてもう一つ心配されるのが、原油価格の動きです。原油価格がレンジを下抜けする動きを見せ始めています。これまで45-55ドルのレンジが続いて、比較的安定した動きを見せていましたが、先週末には1月30日以来となる、44ドル台まで原油安が進みました。国際エネルギー機関(IEA)が、需要の低迷が続いているため、まだしばらくは需給が改善しない見通しを発表したことが背景です。  原油安がさらに進むと、米株式市場でエネルギー株が売られ、それが全体のセンチメントを悪化させることにもつながり、円高を誘発することも考えられます。今週はFOMCの声明文と同時に、原油価格の動向にも注意が必要です。予想レンジは120円60銭~121円70銭程度にしたいと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はミシガン大学消費者マインドが予想を下回ったことや株安から、上値が重い展開。それでも根強い利上げ観測に支えられ、121円台半ばで推移。ユーロドルは再び下落基調を強める。FRBとECBとの金融政策の違いを背景に、1.05台を割り込み、1.0463までユーロ安が進む。
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2015-03-16 09:45