トヨタやVWの合弁会社もグループ内に・・・第一汽車トップに「規律違反」の疑い

中国共産党中央規律検査委員会と中国政府監察部は15日、第一汽車集団の徐建一董事長(会長)を重大な規律違反の疑いにより調査していると発表した。第一汽車集団は中国の三大自動車企業のひとつで、グループ内にはトヨタやフォルクスワーゲンなどとの合弁会社もある。第一汽車集団本体の株式上場は、中国自動車業界の大きなテーマとされてきた。徐董事長の取り調べにより、同社活動が影響を受ける可能性もある。
中国共産党は腐敗の減少・撲滅を目的に、全国各地政府や公共事業体、国有企業の検査を続けている。第一汽車集団に派遣された検査チームは1月30日の時点で、「多くの腐敗問題がある。カーディーラとしての契約締結時、あるいはカーディーラ企業の株式保有などに関連して、特定の人物に利益を図っている」などとするリポートを発表した。徐董事長も同見方について「実情と完全に合致する」と表明した。
中国当局は改革開放政策開始後の早い時期に、「自国の能力だけで、自動車業界を先進国レベルに近づけるのは不可能」と判断。そのため、国有自動車会社に先進国の自動車会社との合弁会社を設立させた。合弁会社は外資側ブランド車を中国国内で生産するようになった。
第一汽車集団傘下にはフォルクスワーゲンとの合弁による一汽大衆(本拠地・吉林省)、トヨタとの合弁の天津一汽豊田などがある。当局が調べを進めれば、第一汽車集団の合弁事業も影響を受ける可能性は否定できない。
第一汽車の設立は1953年で、上海汽車(58年設立)、東風汽車(69年設立)と並び、中国の三大自動車企業のひとつとされる。長安汽車、奇瑞汽車を加えて「ビッグ5」とされることもある。
第一汽車集団を除く中国の主要自動車グループはすべて全体上場している。徐会長は2007年に総経理(社長)に、2010年には会長に就任した。徐会長の社長就任時期から第一汽車集団は株式上場のための準備を続けてきたが、徐会長の取り調べで上場計画が影響を受ける可能性も否定できない。
徐建一会長は1953年生まれ。元は自動車関連の技術者で、国外への派遣も多い。吉林省政府の高級幹部や吉林市市長も歴任した。中国では国有企業幹部が官界に進み、再び企業に戻ることが珍しくない。徐会長は人脈面で江沢民元国家主席や腐敗の疑いで党籍を剥奪された中国共産党中央政治局の周永康前常務委員と近いとされている。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
中国共産党中央規律検査委員会と中国政府監察部は15日、第一汽車集団の徐建一董事長(会長)を重大な規律違反の疑いにより調査していると発表した。(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
china,accident,economic,industry
2015-03-16 11:00