中国レアアース、「資源税」で規制強化か

 中国は5月上旬にも、レアアースなどについて設けていた輸出関税を撤廃する見込みだ。ただし前後して、「資源税改革」を実施して資源保護を強化するとみられる。国内外に差をつけない規制強化なら世界貿易機関(WTO)が2014年8月に示した裁定にも反しないことになる。  レアアースについてはこれまで「貿易摩擦問題」として中国政府・商務部が扱ってきたが、資源税などに関連する文書は工業和息化部(工業情報化部)が発表した。  中国政府・商務部の沈丹陽報道官は1月21日、レアアースの輸出税について「5月2日までは現状のまま」と説明した。つまり、同税は5月2日をもって撤廃されると表明したことになる。  一方で、中国政府・工業情報化部は3月3日、2015年における「原材料工業のモデルチェンジ」に関係する文書を発表した。同文書はエネルギー資源、金属、セメント、ガラスなど資源・原材料分野の多岐に渡って言及しているが、特に注目されているのはレアアースなどについての記述だ。  まずレアアース、タングステン、蛍石の生産で「総量規制」を厳格化すると説明。レアアースについては特に、包装、標識、運送、貯蔵について「国家は方法を強制し、輸出を規範化する」と断言した。さらに「レアメタル管理条例」、「レアアース指令性生産計画管理弁法」、「レアアース業界参画条件」など、新たなルール制定や既存ルールの改正で管理を強化する。  同文書は、レアアース、タングステン、モリブデンについて「資源税の改革方法を早急に打ち出す」と記載。資源税の引き上げにより生産をコントロールする意図と、読み取ることができる。  中国政府ではこれまで、レアアースなどの不法採掘が「合法的採掘量に匹敵する量」ともされてきた。2011年後半からの価格暴落も「違法採掘による供給過多が原因」との見方がある。工業情報化部は、レアアースの採掘、生産、流通の全過程を追跡できるシステムを構築する考えだ。  中国では工業原料などを扱う専門サイトの粉体網が16日付でレアアースなどについての「資源税改革方案」を分析する文章を掲載するなど、同問題に対する関心が高まりつつある。  WTOは14年8月の裁定で、中国が続けていた輸出規制は不当としたが、「持続可能な発展のために資源保護を行う権利」は認めた。中国はWTOの裁定も念頭に、「国内外に差をつけない形式での資源保護」の体系づくりを急ぐと考えられる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
中国は5月上旬にも、レアアースなどについて設けていた輸出関税を撤廃する見込みだ。ただし前後して、「資源税改革」を実施して資源保護を強化するとみられる。(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)
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2015-03-17 10:15