政府指導の下、中国本格的LCC時代の到来か

日本経営管理教育協会が見る中国 第291回--大森啓司(日本経営管理教育協会会員) ● 中国国内におけるLCCの台頭   前回のコラムでは航空機の遅延が招く中国経済への影響についてまとめてみたが、約2年前にも、日本で初めてのLCC(茨城空港にやってきた春秋航空を中心)を記した(第166回2011年8月31日掲載)。今回はその続編として、最近拡大している中国国内での格安航空(LCC)についてその後の状況も含めて理解を深めていきたい。 ● 日本国内でLCC利用時の感想   昨年(2013年)筆者は初めて関西空港から仙台空港行きのLCC(ピーチ)に搭乗した。搭乗料金の最安値の4895円、JALやANAの場合、往復割引で片路約2万5000円で搭乗しているので、なんと5分の1で乗る恩恵を受けることができたことになる。去年年末の某新聞に、日本ではピーチを初めとしたLCCがこぞって高収益をあげている記事が掲載されていたが、若者を中心に観光客の予約が殺到していると推察できる。   搭乗してみると、前の座席シートとの幅は通常よりも10cmくらい狭く、確かに圧迫感がある。隣のシートとの間隔も無いに近い。機内のサービスは全て有償であったりはするが、1時間30分ならば運賃の安さを鑑みてなんとか我慢できる時間であると判断できる。現にこの関西⇒仙台便は搭乗率が80%以上ということで、既に増便が決定している。 ● 中国国内では格安航空が相次ぎ誕生   日本のみならず中国でもLCCが拡大している。民営航空会社の吉祥航空は広州を本拠とするLCCの新設を計画、もし実現すれば上海の春秋航空、重慶の西武航空に次いで3番目のLCCとなる。航空会社名は「九元航空」、名前の通り、超低価格は9元(約145円)や19元といった料金設定をしているようである。   日中の物価水準差から見れば、日本のLCCが設定した1980円と同じ価格帯ではあるが、本当に驚きの一言である。又同社以外にも、国内大手の中国東方航空はカンタス航空と共同で香港を中心としたLCCの運行を準備しているとのことであり、今後もこの波は収まりそうもない感じである。 ● 中国政府も海外LCCに対抗できる事業者を!   中国国内においては、東南アジアのマレーシア系のエアアジアが先駆者で、日本のLCCも前述のピーチが香港や台湾に乗り入れているが、中国政府は国内LCC事業者を育てていく方向性を明確に有している。具体的には国内線の各路線で基準よりも45%安い料金を下限としているが、今後は自由に料金設定をできるようにする。   高速鉄道と競合する路線への促進を促すなどして、経済成長の一助としてさらに推進をしていく気構えである。日本も現在、茨城空港を発端に、佐賀や高松等の地方空港も存在感をどのようにPRするか!という観点で、国際線LCCの乗り入れを歓迎し地域の活性化を図っている。今後、新興航空会社による新しい風を期待したいところである。   写真はソラシドエアー(羽田空港にて)。(執筆者:大森啓司・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)               
前回のコラムでは航空機の遅延が招く中国経済への影響についてまとめてみたが、約2年前にも、日本で初めてのLCC(茨城空港にやってきた春秋航空を中心)を記した(第166回2011年8月31日掲載)。今回はその続編として、最近拡大している中国国内での格安航空(LCC)についてその後の状況も含めて理解を深めていきたい
china,column
2014-01-29 10:45