日本の「匠の心」こそ、中国製造業に欠けるモノ=中国メディア

中国ではこのところ、自国の製造業に「欠けるもの」を考察する論説の発表が相次いでいる。背景の1つに、これまでのように「低コスト生産」で競争力を得ようとしても東南アジアの“新・新興国”への対抗が難しくなったことがある。日本を旅行する自国民が日本製の家電製品などを争って購入する姿も、衝撃だった。日本の「ものづくり」の原点として注目されてはじめたのが「匠の心」または「職人気質」だ。
湖南省のメディアである長沙晩報は16日付でベッドシーツやカバーなどを主力製品とする湖南夢潔家紡を紹介した。創業58年で、中国では「老企業」と呼ばれる。極端な社会主義政策の時代にも操業していたわけで、当時は品質よりも「当局の定めた計画に従いノルマをこなす」ことが最重視されたはずだが、現在はまったく違う。
同社は2014年、売上高が前年比10.5%増の15億7100万元(約302億6500万円)、純利益は52.1%増の1億7900万元(約34億4800万円)。売上が伸びているが、それ以上に純利益が大きく伸びていることからは、高付加価値商品の伸びが大きいことが読み取れる。同社の成長をもたらしているのが「匠の精神」だ。
スイス製、ドイツ製の最新式の機械を導入しているが、それだけではない。手作業の刺繍をほどこす製品もある。同社には職歴30年以上の「刺繍職人」が5人いる。彼/彼女らの素早く正確な針さばきは「見ているだけで快感を覚える」ほどという。
とにかく肝心なのは品質であり、消費者の求めに応えることだ。上海やパリでは、技術やファッションのトレンドを常に研究している。製品の質に「完成」ということはないが、「99%の完成度を99.99%に引き上げる」ことが信条だ。
同社製品の多くには、「人の肌に直接触れる」という特徴がある。それだけに、「使ったとたんに“大ファン”になる」人も珍しくないという。高級シリーズの「寐」には、シーツや毛布、枕、枕カバー、各種タオルやガウン、スリッパなどの他に、ボディーソープやシャンプー、入浴剤などもそろえている。
最近になりある夫婦が、同社の「寐」シリーズの全製品をすべて購入した。別荘を新築したので、ベッド回りと浴室を「寐」シリーズで統一したいとの希望だった。代金は約80万元(約1540万円)だった。
高品質であるがゆえにファンが増える。売れ行き好調となり利益も拡大するので、品質をさらに向上させるための研究開発費に余裕が生じる。湖南夢潔家紡は製造業企業が発展する「王道」を歩んでいると言えそうだ。(編集担当:如月隼人)(写真は長沙晩報の16日付報道の画面キャプチャ)
中国ではこのところ、自国の製造業に「欠けるもの」を考察する論説の発表が相次いでいる。(写真は長沙晩報の16日付報道の画面キャプチャ)
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2015-03-19 12:30