三菱UFJ投信「三菱UFJ Jリートオープン」、不動産市況の本格回復期を迎え一段と成長期待が高まるJリート

 東京都内はオリンピック開催に向けた再開発が活発になり、都内オフィスの空室率も低下するなど、不動産市場が好転している。また、量的緩和政策において日銀は、Jリートを市場から直接購入することを継続的に実施し、Jリート市場も活気を帯びている。モーニングスターのファンド オブ ザ イヤー2014で国内REIT型部門の最優秀ファンド賞を受賞した「三菱UFJ Jリートオープン(3カ月決算型)」を設定・運用する三菱UFJ投信の株式運用部 国内株式第2グループ シニアファンドマネジャーの梶井広行氏(写真)に、Jリート市場の投資環境等を聞いた。 ――2014年のトータルリターンは29.07%と、参考類似ファンド分類の平均を0.40%上回り、3年トータルリターン(年率)が2014年12月末まで55カ月連続で参考類似ファンド平均を上回るという、長期に優れた運用実績を残していることが評価されて、ファンド オブ ザ イヤー2014の国内REIT型部門で最優秀ファンド賞を受賞しました。2014年の運用を振り返って、類似ファンドの平均を上回るパフォーマンスが残せた要因は?  当ファンドは従来からの投資コンセプトである「着実に収益を積み上げる運用」をめざしています。昨年前半は難しい市場局面だったのですが、年後半には成長率が市場平均を上回ると見込まれる銘柄の投資比率を高めたことによってパフォーマンスを改善することができました。銘柄選択にあたっては、増益率が高く業績に安定感のある銘柄を中心にピックアップしました。このような「攻め」の運用を行ったことがパフォーマンスに寄与したと考えられます。 ――着実に収益を積み上げる運用とは?  まずは、市場全体の動きに遅れないように、できるだけ広く分散投資しています。2015年2月に新規上場銘柄が1銘柄増え、Jリート銘柄総数は50銘柄となりました。当ファンドは現在46銘柄に投資しており、(2015年2月末時点)中小型銘柄も組み入れています。中小型銘柄も組み入れているのは、時に短期で大きな値動きをすることがあるため、組み入れておかないと市場平均に劣後するリスクがあるためです。  その上で、個々の銘柄の値動きをチェックしながら、適宜、銘柄の売買を行っています。極端に表現すると、1日あたり0.01%でも収益を積み上げる運用を日々続けたいと考えています。 ――長期に安定して高いパフォーマンスを実現する上で、調査・運用体制が優れていることも最優秀賞受賞のポイントになっています。ファンドの調査体制は?  当社の特徴として、一次情報を重視するという運用哲学があります。このため、投資先への直接訪問や取材を可能な限り行って運用に活かしています。具体的には、上場全リートに対して、年2回の決算説明会に出席、また、決算前と決算後それぞれの時期に企業訪問を行い状況の確認・分析をしています。このような独自調査を経てファンドの投資ユニバースを策定し、銘柄選定を行っています。全銘柄の情報を常に確認し、最新の内容に更新していく作業は不可欠であると考えています。  たとえば、Jリート各社は、増資や銀行借り入れによって資金を調達し、物件を購入することで資産規模の成長につなげています。増資や大口の借入情報は公表されますが、その資金をどのように使うのかということは、資金調達の情報だけではつかめません。また、増資や負債についての考え方も、各社それぞれです。経営陣の方々との直接のコミュニケーションで分かることは多いのです。  また、運用チームによるリサーチに加え、三菱UFJ信託銀行不動産コンサルティング部からの情報は大変有意義です。同部に所属する不動産鑑定士の専門チームが、Jリートが保有する全不動産に対し独自の目線で物件評価を実施しています。これだけの充実した物件評価体制は大変貴重であり、このような三菱UFJ信託銀行グループの高い調査力が、的確な投資判断に大いに役立っています。  このように、Jリート各社との相対ミーティングによる継続的な対話と、不動産鑑定情報を得ることによって、より確実性の高い収益見通しが立てられます。このバックボーンがあるからこそ、長期にわたって好調な運用成績を残せているのだと思います。 ――Jリート指数はリーマンショック後急激に落ち込みましたが直近は上昇傾向が続いています。現在のJリートの投資環境を、どのように考えていますか?  東京都心のオフィスの空室率と賃料の推移をみてみると、空室率は2012年中ごろにピークとなり、賃料は2013年12月を底に緩やかに回復しています。2014年を通じて空室率が低下し、賃料が回復するという動きが続いていますので、不動産市況は2014年に本格回復期に入ったと判断できると思います。不動産市況の回復は、Jリートにとっては成長機会の拡大となり、賃料の上昇は収益の向上に直接結びつきます。  一方で、日銀による量的金融緩和によって、日銀が直接、Jリートを市場から購入し続けています。日銀は2014年10月末に追加金融緩和で年間購入枠を3倍の900億円に引上げると発表しました。これは、月平均にすると75億円を購入するという計画です。2014年11月以降日銀は月に5~7回程度、1日あたり10億円超の買付けを実施しましたが、Jリート市場の1日平均売買代金は直近数百億円程度ですので、1回あたり10億円超の購入額は、市場の下支えに相当な効果があると期待できます。  中央銀行が直接購入するアセットクラスとしてJリートが取り上げられているという安心感は大きく、歴史の浅いJリート市場には大きな追い風になっています。この効果もあって、Jリート指数は直近3年間でみると2倍以上上昇しました。  現在の平均分配金利回りは約3%であり、リスクプレミアム(10年国債利回りとの金利差)は2.7%程度です。不動産のリスクプレミアムの長期的な適正水準は3%程度といわれますがこれに近い水準で、市況回復局面である現状においては特段の過熱感はありません。また、現在の良好な不動産市場環境からすると、Jリート各社の分配金は安定、というよりむしろ、相当程度の増配も見込める状況にあります。当面は、リスクプレミアムの低下を伴いながら、Jリート市場は堅調に推移すると考えています。 ――資産運用において、Jリートをどのように活用すればよいと思いますか?  Jリートは、長く付き合っていただくのに適した金融商品であると思います。安定した分配金が継続的に期待できるというメリットがありますので、短期的な投資口価格の変動を気にせず、長期にわたり保有し続けることもできます。すなわち、安定高配当であり、為替リスクもないため、NISA向けにも最適な商品の一つであると考えています。  当ファンドは3カ月ごとに決算を行い分配金をお支払いしていますが、複利効果を追及される方には、年1回決算型のファンドのご用意もありますので、お客さまのニーズに合わせてお選びください。 【ファンドの基本情報】 ファンド名:三菱UFJ Jリートオープン(3カ月決算型) 設定日:2004年6月22日(1月・4月・7月・10月の各10日決算) 信託報酬:年1.08%(税抜1.00%) 販売手数料:上限3.24%(税抜3.0%) 騰落率(2014年12月末現在):設定来137.09%、過去3年:165.26%、過去1年:29.07% (編集担当:徳永浩)
モーニングスターのファンド オブ ザ イヤー2014で国内REIT型部門の最優秀ファンド賞を受賞した「三菱UFJ Jリートオープン(3カ月決算型)」を設定・運用する三菱UFJ投信の株式運用部 国内株式第2グループ シニアファンドマネジャーの梶井広行氏(写真)に、Jリート市場の投資環境等を聞いた。
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2015-03-23 08:15