【為替本日の注目点】FRB発言でドル安限界を試すか、ユーロ反発

 NY市場  ドル円はFRB副議長の発言などから利上げのペースは緩やかになるとの見方が広がり、ドル売りが優勢となった。長期金利が低下したこともあり、一時119円58銭までドル安が進んだ。ユーロドルもさらに続伸し、1.0972まで上昇。利上げ後も、その後のペースは緩和的になるとの観測がユーロ買い戻しを加速させた。  株式市場は引けにかけて下げ足を早め、主要指標は反落。輸送株の下げが全体を牽引し、ダウは11ドル安。債券相場は続伸。10年債利回りは1.91%台まで低下しドルの上値を抑える。金、原油は共に続伸。  2月中古住宅販売件数 → 488万件  ドル/円 119.58 ~ 119.91  ユーロ/ドル 1.0875 ~ 1.0972  ユーロ/円 130.32 ~ 131.34  NYダウ -11.61 → 18,116.04ドル  GOLD +3.10 → 1,187.70ドル  WTI +1.73 → 47.45ドル  米10年国債 -0.020 → 1.910%  本日の注目イベント  中   中国 3月HSBC製造業PMI(速報値)   中   中国 2月コンファレンスボード景気先行指数   独   独3月製造業PMI(速報値)   独   独3月サービス業PMI(速報値)   欧   ユーロ圏3月製造業PMI(速報値)   欧   ユーロ圏3月非製造業PMI(速報値)   英   英2月生産者物価指数   英   英2月消費者物価指数   米   2月消費者物価指数   米   1月FHFA住宅価格指数   米   2月新築住宅販売件数   米   3月リッチモンド連銀製造業指数   米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演   FRBのフィッシャー副議長はNYでの講演で、「いかなる状況でも当局が為替レートに基づいて政策を決定することはない」と述べ、足元のドル高を意識した発言と思われますが、金融政策でドル高を押さえ込むことに否定的だと受け止めれられます。また利上げに関しても「米金融政策は、初回利上げ後も非常に緩和的となろう」との認識を示しました。この発言を受けて、米国債が買われ、長期金利が1.91%台まで低下し、ドル売り材料になっています。  3月8日には、一時2.25%程度まで上昇した米長期金利でしたが、ここに来て低下傾向を鮮明にしています。今月のFOMCまでは利上げ観測が強く、それは2月の雇用統計の結果にバイアスがかかっていたこともあり債券が売られ、金利が上昇するというサイクルにドル円は122円台まで上昇した経緯があります。  しかしその後は、イエレン議長やシカゴ連銀総裁、さらには昨日のフィッシャー副議長など、「ハト派」の重鎮がこぞって「利上げがあったとしても、緩和的な政策は変わらない」ことを強調してきました。その結果、NYの株価も反発し、債券が買われ、金利が低下して来たわけです。ただ、金利が低下してきた割にはドル円が底堅い動きをしていると見れないこともありません。  このままドルが下落に向かい、118円台を割り込むような事態は想定しにくいと言えます。6月か9月か、あるいは2016年に利上げが延びるのかは今後の経済指標次第ですが、やや心配なのは「一人勝ち」と言われて来た米景気の拡大に、やや息切れが見られることです。2015年に入ってからは、雇用を除いて明らかに成長が鈍化してきている印象です。  欧州や、中国の成長鈍化の影響がじわじわ出てきたとの指摘もあります。今後、好調な雇用が消費を支え、これが景気全体の底上げにつながるのかどうかという点と、ユーロ安の影響でドイツを中心に景気底入れから反発に向えば、これも米景気に好影響を与えることから、その行方にも注目です。  ユーロドルの反発が目立ちます。FOMC後に1.10台半ばまで急騰し、その後1.06台前半まで売られたことで、やはり上値は重いと思われましたが、再び上昇に転じてきました。ギリシャへの支援問題や、ECBの量的緩和を考えると、やはり上値には限界があろうかと思いますが、1.10台半ばを抜けるようだと、「日足の」「52日線」がある、1.12台半ばあたりまでの上昇も視野に入れておく必要があるかもしれません。上がれば、とことん上がり、下がればとことん下げるのが、ユーロドルの特徴です。  ドル円も同様に、ドル安の限界を試すような動きです。「8時間足」の「120日線」がある119円50銭は前回のドル安局面でも維持されました。従って、目先はこの水準が重要なサポートかと思われます。さらに3月19日に記録した119円29銭が次のサポートになり、節目の119円がそれに続きます。本日も株価の動向にもよりますが、119円~120円30銭程度のレンジを予想したいと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はFRB副議長の発言などから利上げのペースは緩やかになるとの見方が広がり、ドル売りが優勢となった。長期金利が低下したこともあり、一時119円58銭までドル安が進んだ。ユーロドルもさらに続伸し、1.0972まで上昇。利上げ後も、その後のペースは緩和的になるとの観測がユーロ買い戻しを加速させた。
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2015-03-24 09:30