【書評】『図解 はじめての投資信託(お金のきほん)』監修:モーニングスター代表取締役社長 朝倉智也

 2014年1月に始まった「NISA(少額投資非課税制度)」によって、「初めて投資信託の購入を考えた」という方も少なくないだろう。NISAの口座数は1年間で約824万口座が開設された。「投資非課税」というメリットに加え、株高、円安という大きな市況の変化が、「投資をすることで資産を増やしたい」という消費者の意欲を刺激している。本書『図解 はじめての投資信託(お金のきほん)』は、「はじめての投資信託(投信)」について、図解付きでわかりやすく解説した入門書だ。監修を投信評価会社のモーニングスター代表取締役の朝倉智也氏が務め、プロの目から見た「投信のしくみ」、「投信の選び方」、そして、「投信を使った運用の仕方」など、実践的なノウハウが詰め込まれている。  本書の内容は、まず、「ゼロからわかる!投信のしくみ」というわかりやすい図解に続いて、「投資の目的とおすすめファンド~早わかり!タイプ別運用スタイル~」が展開される。一般にある投資の指南書と違って、「あなたに相応しい投信とは」という、もっとも知りたい内容が、始めの方で明らかにされる。そして、「なぜ、その投信がふさわしいのか」という謎解きのような展開で、「投資のいろは」が紐解かれていく構成なので、投資のいろはや用語解説がダラダラ続いて退屈するようなことがなく、自然と読み進むことができる。  さらに、「お金を増やすための必勝戦略~投信成功の手順~」として、“勝つ投信”の選び方や、年代別の資産配分の考え方など、将来にわたる運用を考えていくうえで知っておきたい知識を網羅して記述されている。そして、投資信託購入後の運用成績のチェック方法や、価格変動時の対応の仕方、そして、解約までが、一連の手続きとして解説されている。  監修にあたった朝倉智也氏は、本書について「はじめて投資信託を買ってみようと考えた方に、この一冊で、知りたいこと、知っておくべきことの全てが分かる内容になるよう、細かなことまで気を配っています」と語っている。  「NISA」に始まった“投資優遇策”は、現在検討が進む「確定拠出年金(DC)法」の改正によって、一段と推し進められる方向にある。今回の改定で専業主婦や公務員も含めて20歳以上の全国民が加入対象になる見通しの「個人型DC」は、毎月の掛金が所得控除の対象となり、運用時は非課税、さらに、受け取り時にも税制優遇を受けられるという、NISA以上に税制優遇メリットがある投資口座であるだけに、その制度の理解が進むとともに、NISAを凌駕するほどの関心を呼ぶと期待されている。ますます、「投資」についての知識が求められるようになる現在、本書は最初に手にする投資信託の解説書として大いに活用されそうだ。(学研パブリッシング・1500円+税)(編集担当:八木大洋)
本書『図解 はじめての投資信託(お金のきほん)』は、「はじめての投資信託(投信)」について、図解付きでわかりやすく解説した入門書だ。監修を投信評価会社のモーニングスター代表取締役の朝倉智也氏が務め、プロの目から見た「投信のしくみ」、「投信の選び方」、そして、「投信を使った運用の仕方」など、実践的なノウハウが詰め込まれている。
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2015-03-24 15:45