日中関係、互いにどれだけ「特別な国」なのか

日本経営管理教育協会が見る中国 第351回--高橋孝治(日本経営管理教育協会会員)                NHKの世論調査で安倍政権への支持率が低下していると報道された。しかし、これは日本だけではなく中国でもニュースになっている。日本でこのニュースが報道された直後に中国でもテレビで同じ報道がなされていた。   中国で、なぜ日本という外国の首相の支持率低下がそれほどのニュースになるのかと疑問を持ったのは筆者だけではないはずだ。日本で外国の首相の支持率などが大きなニュースになることがあるだろうか。習近平主席に関しては、中国でも支持率調査を行っていないので根拠のある報道はできないが、オバマ大統領の支持率などはどうだろう。むろん日本でもオバマ大統領の支持率が話題になることはあるが、今回の中国の安倍政権支持率低下のニュースのように、「迅速に」、「テレビで」報道されることはほとんどないのではないだろうか。   「日本は右傾化している」と言われており、軍事面で安倍政権の動向に中国が注目していることは間違いない。しかし、それは中国政府だけが知っていればいいことであり、わざわざニュースにして報道することでもないように思える。   ここから筆者は「中国にとって日本はどれだけ特別な国なのだろうか」と思った。要するに、中国人は一般的に「日本のことを知りたい」と思っているのだ(中国には報道の自由がないので、「中国政府が日本のことを知らせたい」と思っていると言った方が正しいかもしれない)。   これは、今回の安倍政権支持率低下の報道だけではない。日本での憲法改正の話題、集団的自衛権容認の問題、自衛隊の戦力の話題などは逐一中国でも報道されている。日本で「外国の憲法改正の話題」がテレビで早くニュースになることがあるだろうか。   そして、中国の日本に関する報道ほどではないが、逆も然りのように見える。日本ではなんだかんだ言って、中国の話がニュースにならない日はないと言ってもいい。日本人もなんだかんだ言って中国のことを知りたがっているのである。いわゆる「反中本」、「嫌中本」が書店にあふれていると批判する人もいるが、言い方を変えれば「悪い情報であっても中国の情報が『とりあえず』売れている状態」になっている・。たとえ多くが、こんな変な国があってもうすぐ崩壊するんだという思いで読んでいるのだとしても、結局のところ事実として、日本にとっても、中国は何だかんだと知りたい「特別な国」になっているのではないだろうか。   最近、日中関係は悪いと言う人が多くいるように見える。しかし、「悪い」から何なのだろうか。日本と中国は国交がまだあり、人の往来もある。中国に関する情報も(悪い方向のものが多いかもしれないが)売れている。筆者に言わせれば、むしろ国交がなくその交渉すら進んでいない北朝鮮との関係や、国交があっても日本人のほとんどがその名前すら知らず、話題にすらならない国との関係の方が問題ではないだろうか。   ある方が日中関係について言っていた言葉を借りるが、「『好き』の反対は『無関心』」なのである。その意味で、こんなにも互いに「特別な関係の国」はないかもしれない。   写真は北京日本大使館前(2012年)。(執筆者:高橋孝治・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)
NHKの世論調査で安倍政権への支持率が低下していると報道された。しかし、これは日本だけではなく中国でもニュースになっている。日本でこのニュースが報道された直後に中国でもテレビで同じ報道がなされていた。
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2015-03-25 17:30