進研ゼミの「チャレンジタッチ」、評判のデジタル教材が開講1周年で学習メニューも進化

 ベネッセコーポレーションの「進研ゼミ小学講座」にタブレット端末を使った通信講座「チャレンジタッチ」が2014年4月のスタートから1周年を迎えた。すでに「チャレンジタッチ」の受講生は40万人に達し、タブレット端末を活用した新しい教育メニューの開発も進んでいる。1周年を機に、「チャレンジタッチ」での学習データを分析した「小学生まちがえた漢字ランキング」を発表した。国語教材の開発を担当するベネッセコーポレーション小学生中高学年開発部デジタル講座開発課の久富みずほさんに、「チャレンジタッチ」を活用した小学生向けの教材開発の現状と今後の展望について聞いた。(写真は「チャレンジタッチ」の学習画面の一部) ――「チャレンジタッチ」の開講1周年を前に、「小学生まちがえた漢字ランキング」を発表なさいました。このランキングは、どのような経緯でまとめられたのですか?  昨年4月にスタートした「進研ゼミ小学講座 チャレンジタッチ」では、毎月、新出漢字の問題を出題してきました。「小学生まちがえた漢字ランキング」は、この出題した漢字に対して受講生が「チャレンジタッチ」を使って解答した結果を集計しました。  たとえば、1・2年生は9月号~12月号の漢字学習の結果を集計したのですが、1年生では1万3402人~1万5674人、2年生は2万8959人~3万7502人の解答を分析しています。解答者数に幅があるのは、月号によって人数が変動するためです。  このような「まちがえた漢字ランキング」は、従来の紙ベースの教材でも解答結果を分析して公表することがありましたが、今回はデジタルベースで集計ができましたので、膨大な量のデータを短時間で集計・公開することができました。 ――今回の分析によって、「小学生まちがえた漢字」の傾向や特徴は?  小学校1年~6年までに学習する漢字の数は1006字で、各学年で1年生は80字、2年生は160字などということが決まっています。また、各学年で学習のポイントが決められていて、例えば、1年生は漢字に慣れる、正しく書くということに主眼が置かれますが、3年生以降では、漢字の熟語を習うなど、文章を読む・書くなどの場面で漢字を使いこなすことが求められるようになります。  それぞれの学習段階によって、「まちがえた漢字」にも特徴があります。例えば、1年生が一番間違えた漢字は、「男」ですが、下の部分が「刀」になってしまう1年生が多くみられました。「雨」という字の右下のハネがないことも多くありました。1年生は、ひらがなから漢字に進むところで、「出る・出ない・くっつく・くっつかない・トメ・ハネ」といった漢字の「字形」のルールについて馴染みがないために起こる間違いが多くみられます。  3年生以上では、覚える漢字の数も増えますし、また、使いこなすフェーズに入っていくので、「同音異字」や「送り仮名」などを苦手にする傾向が出てきます。送り仮名では、「反らす」、「養う」など、普段の生活では使わない用語で、日頃から本にたくさん触れていないと出会わないような言葉で間違いが多くなります。高学年になると、語彙の量による差が開いてくるようになります。  さらに、漢字の書き順で間違えやすい漢字も出てくる傾向があります。例えば、漢字の書き順については、「上から下」、「左から右」というような基本的なルールがあるのですが。「状」のようにルール通りに書かない漢字は間違えやすくなります。この書き順については、紙ベースの教材では、実際にどのような順番で文字が書かれていたのか、把握することが難しかったのですが、「チャレンジタッチ」を使うと、書き順の弱点がより明確にわかるようになりました。  小学校の国語の授業では、漢字をバランスよく書くために、書き順を重視して教えているのですが、その書き順について初出の時に、キチンと覚えるという点では、「チャレンジタッチ」を使った漢字学習は有効です。間違った書き順は、その都度指摘して正しい書き順に導いていきますので、効果的な学習方法になると感じています。 ――「漢字の書き順」以外に、「チャレンジタッチ」を教材として利用するメリットは?  例えば、小学校1~2年生では教科書に載っている物語を、教室で音読発表するという機会があります。まだ、1文字1文字を拾い読みするような段階で、音読するのはハードルが高いのですが、「チャレンジタッチ」を使うと、お手本が音声で流れ、それを聞いて、自分で読んだ声を録音するという機能があります。この機能で練習して、自信を持って学校で音読を発表することができたという声があります。  また、あいさつや敬語などの言葉遣いの学習でも、従来はマンガ等で状況を説明していたのですが、「チャレンジタッチ」を使うと動画などで、よりリアルな状況を表現することも可能です。  さらに、紙のテキストでは、学習内容を「決まりごと」としてルールで示すことにとどまっていたのですが、「チャレンジタッチ」を使うと、学校の先生が授業で行うように、身近な事例から生徒に気づかせてあげるような展開が可能で、ルールまでの助走、道筋をつけて教えることが可能です。  例えば、国語では、カタカナで表現するのは外国から来たもので、ひらがなは日本由来のものというルールがありますが、これを教えるのに、学校の授業では、お菓子屋さんをイメージして、チョコレートやケーキ、お団子などを並べて、何が違うのかということを考えさせることから、カタカナ表記のルールへの気付きにしたりしています。このような授業の再現が、「チャレンジタッチ」では比較的容易にできます。 ――「チャレンジタッチ」を1年間運営して、今後、どのような可能性を感じていますか?  現在は、「まちがえた漢字ランキング」のように、「チャレンジタッチ」学習を通じて集まってくる膨大なデータを分析し、状況を把握する段階です。この1年の間でも、集まってきたデータを分析して、新しい学習アイデアを毎月の教材配信のたびに提案してきています。「チャレンジタッチ」では、提案した学習方法に対する反応がリアルタイムで分かりますので、その都度、効果測定を行って、ブラッシュアップをしていっています。  さきほど、カタカナ表記のルールで話したように、「チャレンジタッチ」を活用することによって、教える内容を各学齢の思考に沿って分解し、学校の授業で先生方が工夫しながら行っておられるような授業に似たような流れで、わかりやすく伝える工夫ができるようになると感じています。  当面は、膨大なデータ分析を活かした「苦手克服の短期集中レッスン」などのメニューが考えられますが、この苦手分野は、個々のお子様によってそれぞれですから、学習結果に応じてカスタマイズしたレッスンが、提供できるように進化させられればと思います。  「チャレンジタッチ」について保護者の方から、デジタル教材によって、子どもたちが楽しんで勉強しているという声が多く寄せられています。自分だけの道具を持っているという満足感に加え、時間になるとアラームが鳴って勉強時間を教えてくれ、まるで先生が語りかけてくるような授業に参加し、さらに問題に取り組むと、その場ですぐに答え合わせができるなど、「チャレンジタッチ」の機能を楽しんで使っていただいている様子が伝わってきます。  現在、「チャレンジタッチ」の開講1周年を記念して、専用タブレットを先着50万人に無料で提供する(本来は6カ月未満の退会ではタブレット代金を別途請求)キャンペーンを行っています。この機会に、体験していただいて、新しい学習の機会に触れていただきたいと思います。(編集担当:風間浩)
ベネッセコーポレーションの「進研ゼミ小学講座」にタブレット端末を使った通信講座「チャレンジタッチ」が2014年4月のスタートから1周年を迎えた。すでに「チャレンジタッチ」の受講生は40万人に達し、タブレット端末を活用した新しい教育メニューの開発も進んでいる。(写真は「チャレンジタッチ」の学習画面の一部)
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2015-03-27 09:00