三井住友アセットマネジメント、大手運用会社初の本格直販チャネル「SMAM投信直販ネット」口座開設の受付開始

三井住友アセットマネジメントは大手運用会社で初となる本格的な投資信託の直接販売を開始した。4月1日から直販専用サイト「SMAM投信直販ネット」で一般投資家から口座開設の申し込みの受付を開始している。主たる対象者を投資初心者や資産形成層とし、運用会社の使命ともいえる資産運用や投資に関する啓蒙活動に積極的に取り組む手段として「SMAM投信直販ネット」を活用していくという。同業務を担当する同社オンラインマーケティング部長の宗正彰氏(写真)に、直販開始の狙いと今後の展望を聞いた。
――直販をスタートした狙いは?
昨年4月に社長に就任した横山邦男は、投資信託の受益者の方々との直接の接点になる「直販」を始めたいという意向を以前より持っていたと聞いています。「投資啓蒙を広く行って、一般の方々にも投資についての理解を深める」ということは、運用会社の使命のひとつであるという思いがあります。投資についての理解者が増えることは、当社の投信の販売を担ってくださっている販売会社にとっても歓迎していただけることなので、大手運用会社の先陣を切って直販に乗り出したいという決意がありました。
具体的に、直販チャネル開発の準備室といえるオンラインマーケティング室が発足したのは2014年10月です。そこから、4月の取扱い開始に向けて急ピッチで準備を進めました。今だから言えることですが、昨年10月に準備を開始した時には、大手運用会社で初めての試みですからお手本がなく、全てをゼロから構築していくという作業でしたので、4月開始は無理だろうという声も各方面からありました。
ただ、社長の横山をはじめとする経営陣の思いは、10月の段階では社内に浸透していましたし、準備室が立ち上がってからは、各部署から横断的なサポートもあり、全社一丸となって直販チャネルの開設に向かいました。計画通り4月1日から口座開設のお申し込みを受け付けることができたのは、全社が一丸となって取り組んだ結果です。投信直販事業はまさに全社一丸の証(あかし)であり、業界に向けたイノベーションの象徴として大事に育てなくてはならないと考えています。
――投資啓蒙に取り組むということですが、どのような取り組みを進めるのですか?
リアルセミナーとオンラインマーケティングを融合させて進めていきます。リアルセミナーは初年度100回の開催を計画しています。その場で、直接、来場された方々からのご意見を聞かせていただき、より分かりやすい説明資料などの作成に生かし、新しいコンテンツをどんどん発信していきます。
セミナーで語る内容は、「長期投資」、「分散投資」、「積立投資」の3つです。加えて、NISAの活用についても呼びかけていきます。東京、大阪、名古屋の他、札幌、仙台、広島、福岡などの主要都市でセミナーを開催し、全国で投資の魅力や資産形成の重要性について語り続けていきたいと思っています。
また、オンラインマーケティングでは直販専用ホームページに様々な投資に関するコンテンツを展開し、このコンテンツはリアルセミナーでも活用する一方、SNSやマスメディアなどとのリンクを通じて一般投資家の方々の間で、投資コンテンツが広く流通するというネットワークを作っていきたいと考えています。
「SMAM投信直販ネット」は、オンラインによる「非対面」の販売チャネルですので、こちらから積極的に口座開設や投信購入をオススメすることはありません。投資や資産形成についての知識や情報を発信していくことによって、お客さまが当社のラインアップを活用した資産形成を行っていこうと考えられた時に、口座を開設し、また、投信の購入手続きを行っていただくものです。
ですから、主として、20代、30代という若い層、投資のご経験がない方々を対象としてセミナーを開催し、コンテンツを提供していきます。すでに、「週刊モーニング(講談社)」で投資をテーマにしたマンガ「インベスターZ」を連載なさっている三田紀房先生が描かれるキャラクターを使った投資コンテンツを提供していますが、このような人気マンガの力も借りながら、これまで投資のご経験がない方々に広く情報発信を行っていきます。
――当初のラインアップは、バランス型の投信が4本ですが、この品揃えの狙いは?
当初の商品ラインアップは、確定拠出年金(DC)ファンドとして提供しています既存の2カテゴリー・4ファンドとしました。「SMAM投信直販ネット」が「長期投資・分散投資・積立投資」を広める窓口としての役割を担いますので、もっともこのコンセプトに近いDCファンドから選びました。
「SMAM・グローバルバランスファンド(機動的資産配分型)<愛称:資産配分おまかせくん>」と、「三井住友・ライフビュー・バランスファンド30(安定型)」、「三井住友・ライフビュー・バランスファンド50(標準型)」、「三井住友・ライフビュー・バランスファンド70(積極型)」の計4本です。それぞれ長期間の運用実績があるファンドですので、リーマンショックのような大きな変動があった時の基準価額の動きをご確認いただけます。
また、DCファンドですので、販売手数料はゼロ、信託報酬も低めに設定してあります。毎月5000円から1000円単位で積み立て投資をすることが可能です。また、NISA口座にも対応します。
――今後、直販チャネルをどのように育成していく考えですか?
投資啓蒙活動をミッションとして、全国の多くの方々にセミナーを通じて投資や資産形成についての情報を伝えていきたいと思っています。積立投資の意義を訴求するため、残高ではなく獲得口座数を目標とします。全国で投資についてセミナーを開いていけば、各地域における当社の投信を取り扱っていただいている販売会社のサポートにもつながります。
また、「SMAM投信直販ネット」で提供する投資コンテンツについては、各販売会社にも提供し、ご活用いただける仕組みとします。これまでも、「マーケットレポート」を通じた投資情報のご提供や、「YOURMIRAI NET」(ユアミライ・ネット)に掲載するさまざまな解説用のコンテンツは、多くの販売会社でもご活用いただいてきました。
「SMAM投信直販ネット」で提供するコンテンツも、これまで同様にご活用いただけます。さらに、リアルセミナーにご参加の方々からいただいた意見を織り込んで、より分かりやすく、活用しやすい形に、どんどんバージョンアップしていきますので、これまで以上に内容の良いものになっていくと思います。
既存の販売会社の方々に弊社の投信直販事業のコンセプトについて紹介すると、どの販売会社からも歓迎すると言っていただけます。特に、SBI証券や楽天証券など私の部署で担当するオンライン販社の方々からは、同じオンライン販売チャネルの活性化に繋がるということで、大きな期待を頂いています。これまでになかった取り組みですが、運用会社が投資啓蒙について主体的に取り組んでいくということは、販売会社も含めた運用業界全体で待ち望まれていたことだと感じています。
より多くの方々に投資の魅力を伝えていきたいと思っています。(編集担当:徳永浩)
三井住友アセットマネジメントは大手運用会社で初となる本格的な投資信託の直接販売を開始した。同業務を担当する同社オンラインマーケティング部長の宗正彰氏(写真)に、直販開始の狙いと今後の展望を聞いた。
economic,company
2015-04-01 10:30