中国環境保護部発表から見る中国各都市の大気汚染状況

中華人民共和国環境保護部は、2015年2月2日、2014年度重点区域および74にのぼる都市の大気汚染状況を発表しました。発表内容から見る中国各都市における大気汚染の状況、および環境改善活動の一例を紹介します。
■1. 中国大気汚染都市ワースト10
環境保護部が発表した2014年における大気汚染状況年間ワースト10の都市は別表の通りです。河北省に集中しており、実に7都市までが河北省です。2014年における11位以下の都市名は明確ではないものの、2013年では、河北省に周辺を囲まれる首都、北京市は13位、盆地にある湖北省武漢市は14位、内陸の四川省成都市は15位という状況でした。
■2. 中国の空気が良い都市ベスト10
環境保護部が発表した2014年度、大気汚染状況年間ベスト10の都市は以下の通りです。海南島やチベットの空気が良いことは想定どおりですが、ベスト10のうち、4都市が広東省内、2都市が福建省内の都市となっています。筆者は、以前、広東省肇慶市を訪問した際、四川省成都市から綺麗な空気を求めて移転して来たタクシー運転手の話を思い起こしました。四川省成都市は2013年度ワースト14位、広東省肇慶市はベスト24位でした。
■3. 中国政府および各都市における環境改善活動
中国では2015年1月1日に、企業関連でも厳しい内容を盛り込んだ環境保護法が施行されました。環境保護法は、中国において初めて、環境保護は国の基本国策であると規定した法律です。李克強首相は、環境保護法の施行は、「綿棒」ではなく「必殺の金属棒」と表現し、厳格な執行を言明しています。環境保護部長には、前清華大学学長で環境分野の専門家でもある陳吉寧氏が2015年2月に就任しました。日中政府間においては、石炭から天然ガスへのエネルギー源転換、自動車の大気汚染対策、建設工事の粉塵対策などに関する支援・協力が行われています。
国家レベルの動き以外にも、中国の都市部では、(是非は議論があるとして)人工降雨を用いた環境改善活動が行われています。たとえば、筆者が以前居住していた北京市でも2008年当時、人工降雨は度々行われていましたが、湖北省武漢市でも大気汚染が悪化してきた2012年以降、人工降雨がしばしば行われています。湖北省気象省は、この人工降雨を、2015年4月以降は、湖北省全土で行うとしています。武漢市の環境部門責任者は人工降雨について、汚染物降下の効果が明白であるために、2014年には頻繁に実施したと説明しました。
個人レベルの大気汚染に対する対策としては、外出時のマスクの着用なども考えられます。しかし、中国ではまだまだ歩行者がマスクをすることは多くはありません。ここ武漢市においてマスクを着用すると、ひどい風邪でも引いているのかと誤解されます。たとえば、家族でマスクを着用している人がいると、日本人かなと推測がつくほどです。
日本でも40年前、50年前までは大気汚染が問題となっていました。中国においても、個々人の意識を改善しつつ、他国の経験を活かした、環境重視型の発展を望みます。
以上(執筆者:奥北 秀嗣 提供:中国ビジネスヘッドライン)
中華人民共和国環境保護部は、2015年2月2日、2014年度重点区域および74にのぼる都市の大気汚染状況を発表しました。発表内容から見る中国各都市における大気汚染の状況、および環境改善活動の一例を紹介します。
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2015-04-02 10:30