国際特許で日本勢後退

日本経営管理教育協会が見る中国 第353回--有元舜治(日本経営管理教育協会監査役)
● 華為技術(中国)が首位に パナソニックは4位に転落
国連の世界知的所有権機構(WIPO)の発表によると、2014年の国際特許出願件数で中国と米国の通信関連企業がトップ3を占めた。首位は昨年3位の華為技術(中国)の3442件で、前年より6割以上増やした。昨年首位のパナソニックは約4割減の1682件で4位に後退した。2位はクアルコム(米国)、3位は中興通訊(中国)だった。
前年12位の三菱電機が1593件で5位に浮上した。前年6位のシャープは14位に、8位のトヨタは12位に順位を下げた。上位20社のうち日本を含むアジア勢が12社を占めた。
国別では米国がトップで6万1492件、全体の28.7%、2位は日本で4万2459件、19.8%、3位中国2万5539件、11.9%だった。中国は前年比18.7%増加、米国7.1%増加に対して日本は3%の減少だった。日本の競争力の低下が懸念される。米国は中国やインドなどから流入してきた研究者の米国からの国際特許出願も多いという。
● 特許の出願先は中国が断トツ
特許の出願先として日本の地位低下が目立つ。日本、米国、中国、韓国の特許庁と欧州特許庁の統計などをもとに日本の特許庁がまとめた結果、2013年の出願実績は中国が断然トップで82万件、2位が米国、3位の日本は32万件となっている。中国は前年比26%増で4%減の日本の2.5倍になり、差が急拡大している。2005年には日本での出願件数は42万件と世界で最も多かったが、2006年に米国に抜かれ、2010年には中国にも抜かれて3位に転落。出願件数は5年間で16%減っている。
対して中国は5年間で2.8倍に増加、2011年に米国を抜いてトップになった。まさに世界中が中国市場の魅力にむかって勢力を集中している。これに対して、日本の市場は魅力を失って、世界から見放される危険を感じる。
● 日本産業の再活性化を
2014年の経常黒字は前年から18.8%減って2兆6266億円と1985年以降で最少となった。貿易赤字を利子・配当所得や知的所有権使用料などの黒字で補った形だが、将来的には不安が多い。海外への生産移管で国内の生産現場が縮小し、生産現場での知的財産の生産が衰えると知的財産収支の黒字も減るだろうし、海外での知的財産侵害などの賠償請求も増えてくるに違いない。第一次所得収支にも少なからぬ影響が出るに違いない。地域活性化、雇用の場確保のためにも日本の産業活性化の方策を本気で見直してほしいと思う。
写真は特許製品の例(LED電球)。(執筆者:有元舜治・日本経営管理教育協会監査役 編集担当:水野陽子)
国連の世界知的所有権機構(WIPO)の発表によると、2014年の国際特許出願件数で中国と米国の通信関連企業がトップ3を占めた。首位は昨年3位の華為技術(中国)の3442件で、前年より6割以上増やした。昨年首位のパナソニックは約4割減の1682件で4位に後退した。2位はクアルコム(米国)、3位は中興通訊(中国)だった。
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2015-04-08 11:45