新光投信「グローバル・アロケーション・オープン」、コア商品としてブラックロックの長期に優れた運用力を活かす

 NISA(少額投資非課税制度)等で初めて投資を行う投資家、また、仕事等が忙しく状況に応じて、柔軟に投資資産の入れ替えができないという投資家からも、ファンドの機能の一つとして、最適な資産配分への見直しを行って欲しいというニーズがある。モーニングスターのファンド オブ ザ イヤー2014で新たに設定された「フレキシブル・アロケーション型部門」は、このようなニーズに応えるカテゴリー。最優秀ファンド賞に輝いた「グローバル・アロケーション・オープンBコース(年4回決算・為替ヘッジなし)」について、同ファンドの設定・運用にあたる新光投信の常務執行役員 商品本部長の神崎茂雄氏(写真)に、運用の特徴等について聞いた。 ――「グローバル・アロケーション・オープンBコース(年4回決算・為替ヘッジなし)」については、2014年のトータルリターンが17.04%と、フレキシブル・アロケーション型部門(対象ファンド:98本)の平均を8.81%上回る成績となり、最優秀ファンド賞を受賞しました。このファンドの特徴は?  当ファンドは、ブラックロック・インベストメント・マネジメント・エル・エル・シーが、1989年から25年にわたって運用している「ブラックロック・グローバル・ファンズ‐グローバル・アロケーション・ファンド」に実質的に投資します。このブラックロックのファンドは、2014年12月末時点で同戦略をとる類似ファンドと合わせると総運用資産残高が約12兆円に上る大きな運用戦略です。新興国を含めた世界の株式・債券など800銘柄程度に分散投資し、過去25年間の累積リターンは米ドルベースで10倍以上となっています。また、米モーニングスターから最高位の「ゴールド」に評価されるほど、ファンドの運用体制や実績が高く評価されています。  フレキシブル・アロケーション型の運用では、一般にインデックス・ファンドやETFを使って株式や債券に分散投資を行い、投資比率の変更を行うという方法がとられていますが、このファンドは、株式や債券について個別銘柄をひとつひとつ銘柄選定した上で組み入れて全体のポートフォリオを構築しています。さらに組み入れた銘柄もきめ細かくチェックを行って銘柄入れ替えを行うという、非常に手間のかかる運用を行っています。  また、一般的なファンドでは、100%近くにまで対象資産を組み入れて運用していますが、このファンドは直近で20%程度をキャッシュ(短期金融資産含む)として保有しており、株式や債券の予期せぬ価格下落に備えています。 ――昨年は他のファンドを上回る優れた運用成果を残しましたが、運用のポイントは?  昨年は米国経済がけん引して世界経済が緩やかに回復するという経済見通しが一般的であったと思うのですが、その中にあって、当ファンドは、米国株への投資ウエイトをジリジリと引下げ、欧州と日本の株式はオーバーウエイトにするという投資戦略をとりました。結果的に、欧州や日本の株価が年末に向けて上昇したために、この判断が奏功しました。  また、米国経済の成長を取り込むために、為替のオーバーレイ戦略(為替運用の一元的な管理手法)を使って為替のエクスポージャー(為替変動によって資産が被るリスク)を米ドルに集中するという戦略を実施しました。昨年は米ドルが他の通貨に対して年間を通じて値上がりしたため、この戦略も収益の上乗せに効果がありました。  一方、債券への投資は全体の20%程度に抑えています。世界的に歴史的な低金利になっていることで債券のデュレーション・リスク(金利変動による価格変動リスク等)が高まっているという判断が背景にあります。  しかも、キャッシュポジションを20%程度確保して、株価等の下落リスクに備えた慎重な運用を行っていましたが、それでも年間17%を超えるトータルリターンを出しました。 ――フレキシブル・アロケーション戦略は、運用担当者の投資判断の巧拙によって運用成績が左右されるリスクがあると思いますが、御社がブラックロック社のファンドを投資対象として選択した理由は?  世界のファンドをリサーチする中で、ブラックロックのグローバル・アロケーション・ファンドに出会ったのですが、その過去の運用成績を見た時には、「何かの間違いだろう」というのが、率直な印象でした。一般に、株式と債券のバランス運用を行うファンドのパフォーマンスは、株式と債券の運用成績の中間で推移するものですが、このファンドは株式の運用成績をはるかに超えるパフォーマンスを、しかも、長期にわたって残していたのです。  1989年からの世界の市場は、アジア通貨危機(1997年)、ITバブル崩壊(2000年前後)、リーマンショック(2008年)などの様々な危機を経験しています。ファンドのパフォーマンスをみると、ITバブル崩壊以降に、世界株価の動揺をしり目に、グングンと運用成績が良くなっています。リーマンショック後もわずか1年半で、ファンドの最高値を更新しました。多くのファンドで、下落から回復まで4年ほどを必要としていたことと比較すると驚異的な成績です。  しかも、運用を担当するファンドマネージャーのデニス・スタットマン氏は、このファンドの設立時から一貫して担当し、スタットマン氏とともに、2人の共同ファンドマネージャーがチームをつくって運用を担当しています。2人の共同ファンドマネージャーのうち1人は90年代から運用チームに参加し、もう一人も10年近く担当してきていますので、3人のファンドマネージャーによる運用体制で、人的リスクによる運用の中断という心配はありません。また、ファンドマネージャーを支える約40名の調査チームも盤石です。  今回のファンドは、資産運用のコアとして考えていただくファンドをめざしましたので、大きな危機を経験した時のパフォーマンス、そして、現在のポートフォリオ内容が運用の継続性を裏打ちするような内容になっているかという点を注意深く検証しました。  その結果、ブラックロックのファンドは、一貫した投資姿勢に裏付けされた銘柄選択と、一定のキャッシュポジションを持つことで様々な市場リスクに対して常に備えを怠らず、慎重で無理のない運用を行うファンドであると確信しました。 ――最後に投資家の方々へのメッセージは?  このファンドが行っている常に一定のキャッシュポジションを持つという運用の仕方は、一般の方々がリスク資産で運用する態度に似ていると思います。預貯金の全てを株式等に投資することはありません。株価等が下がってもあわてないように余力を残して投資していると思います。それと同じように、元本を大切にしながら、価格下落時に下げ幅を小さく、上昇時にはできるだけ追随できるように運用しています。そのため、中長期的な資産形成を行う際のコアとなるファンドとして、ご活用いただけると考えています。  ファンドには4つのコースを設けています。A・Bコースは為替ヘッジなしで、為替リスクを取るコースです。年1回決算のAコースと、年4回決算のBコースで分配金の要・不要が選べます。C・Dコースは米ドルについては為替ヘッジを行う限定為替ヘッジです。年1回決算のCコースと、年4回決算のDコースを用意しました。  投資が初めてで資産運用に馴染んでいない方、また、忙しくて日々の世界市場の動きをチェックして運用ポートフォリオを見直すことが難しい方に、是非、ご検討いただきたいと思います。当社ではマンスリーレポートなどで、できるだけ詳しい運用情報を提供し、長く投資していただけるファンドとして育成したいと考えています。 【ファンドの基本情報】 ファンド名:グローバル・アロケーション・オープン Bコース(年4回決算・為替ヘッジなし) 設定日:2013年10月21日(原則3月、6月、9月、12月の各15日決算) 信託報酬:年2.0304%(税抜1.88%) 販売手数料:上限3.24%(税抜3.0%) 騰落率(2014年12月末現在、税引前分配金を再投資したものとして計算した場合の数値):設定来27.9%、過去1年:17.0% (編集担当:徳永浩)
モーニングスターのファンド オブ ザ イヤー2014で新たに設定された「フレキシブル・アロケーション型部門」で最優秀ファンド賞に輝いた「グローバル・アロケーション・オープンBコース(年4回決算・為替ヘッジなし)」について、同ファンドの設定・運用にあたる新光投信の常務執行役員 商品本部長の神崎茂雄氏(写真)に、運用の特徴等について聞いた。
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2015-04-10 08:30