【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】1週間のアルコールの適正量は?
■米国疾病対策センターは女性8杯、男性15杯以上を過剰と定義
前月はアルコール依存症のスクリーニング質問票にて、依存症かどうかの自己診断をお願いしました。では実際の適切な飲酒量はどうでしょうか。日本では、日本酒1合が1日の適正飲酒量とよく言われていますが、私を含めてこの飲酒量を厳守している人は少ないと思います。
米国疾病対策センター(CDC)では膨大なデータから、「過剰な飲酒量」を1回に女性で4杯以上、男性では5杯以上、1週間合計では女性で8杯以上、男性では15杯以上と定義しています。
1杯は、ビール(アルコール度数5%)350mL、ワイン(12%)150mL、日本酒(12%)150mL、焼酎(25%)70mL、ウイスキーダブル(43%)40mLとされます。この男女での違いは、女性ホルモンが体内でのアルコール代謝を阻害し、長時間アルコール濃度が維持されるなどが考えられています。
私の外来での経験でも、想像以上に中高年女性のアルコール依存症や予備軍は多いのが現実です。男性では定年後の方にも多く、短期間で廃人の様になり診察室に来られる方もいます。兎に角、1週間合計で女性7杯、男性14杯で制御したいものです。
アルコール障害を示唆する検査値での管理も大切です。γ-GTP(ガンマジーピティ)が有名ですが、適中率61%と意外に低いものです。ウイルス性肝炎や薬剤性肝炎などでも高値を示すからです。他に貧血を判定するときの平均赤血球容積(MCV)も有用とされ適中率63%で、γ-GTPと合わせると約80%の確立でアルコールを飲み過ぎかどうか判定可能です。
米国でのアルコール障害の生涯有病率は、13%(男性23%、女性5%)です。短期間での過剰飲酒では急性アルコール中毒、暴力、交通事故で、年間10万人当たり約15人が死亡すると報告しています。さらに、20~65歳の生産年齢人口では、全死亡例の約9%がアルコール過剰に基づくと考えられています。過剰飲酒による生産性低下や医療費増加などで、アルコール1杯に対して約1ドル90セント(約230円)の損失があるとされています。
過剰飲酒は認知機能を阻害しますので、アルコール1杯飲むことによって200円の損をしないようにして下さい。(元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
前月はアルコール依存症のスクリーニング質問票にて、依存症かどうかの自己診断をお願いしました。では実際の適切な飲酒量はどうでしょうか。
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2015-04-16 11:15