前期比年率5.3%成長にまで減速した中国経済、さらなる金融緩和も=大和総研が見通し
中国の景気下振れリスクは依然として大きく、中国金融当局は、さらなる金融緩和を含めた景気下支え策を続けるだろう――。大和総研経済調査部シニアエコノミストの齋藤尚登氏は2015年4月20日、預金準備率の追加引き下げを受けて「中国:一段と減速する景気と難しい舵取り」(全9ページ)と題するレポートを発表し、今年1~3月にGDP成長率が前期比年率換算5.3%と減速した中国経済の見通しについて解説した。レポートの要旨は以下の通り。
◆国家統計局によると、2015年1月~3月の実質GDP成長率は前年同期比7.0%と、2014年10月~12月の同7.3%から低下した。3月の全人代(国会)で発表された2015年の政府目標である7.0%前後と同じ成長率とはいえ、2009年1月~3月の同6.6%以来6年ぶりの低い伸びとなった。1月~3月の前期比は1.3%と発表され、年率換算では5.3%と、昨年10月~12月の同6.1%から大きく減速している。
◆景気下振れ圧力は依然として大きい。李克強首相は足元でも「経済成長速度は合理的な区間内にあり、雇用は基本的に安定し、収入は堅調に伸び、エネルギー使用効率は向上している」などと、現状を肯定的に評価しているが、中国人民銀行の2015年第1四半期の貨幣(金融)政策委員会では、従前の「現在、経済運営はなお合理的な区間内にある」との表現が使われなくなっている。金融当局が経済状況に対して厳しい認識を持っているのは明らかであり、4月20日には預金準備率の追加引き下げが実施された。今後もさらなる金融緩和を含めた景気下支え策が続くとみている。
◆ただし、景気下支えの頼みの綱は、将来に付けを回しかねない、インフラ増強と、投資・投機の増大を容認した住宅市場の回復くらいしか見当たらないのが現状であり、中国政府は難しい舵取りを迫られよう。(情報提供:大和総研、編集担当:徳永浩)
大和総研経済調査部シニアエコノミストの齋藤尚登氏は2015年4月20日、預金準備率の追加引き下げを受けて「中国:一段と減速する景気と難しい舵取り」(全9ページ)と題するレポートを発表し、今年1~3月にGDP成長率が前期比年率換算5.3%と減速した中国経済の見通しについて解説した。
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2015-04-21 10:15