SBIモーゲージ、新社名「ARUHI」のもとで住生活プロデュース企業に転身

 住宅ローン専業で、全期間固定金利住宅ローン「フラット35」の実行件数が5年連続でシェアNo.1の実績があるSBIモーゲージは、2015年5月1日から新経営体制のもとで、社名をアルヒ株式会社(ARUHI)に改め、第2創業期として新たな事業展開を推進する。新経営陣には、デル代表取締役社長、HOYA代表執行役などを歴任した浜田宏氏を代表取締役会長CEOに迎え、住宅ローン専業から「住生活プロデュース企業」へと事業領域を拡大して一段の成長をめざす。(写真は、ARUHI代表取締役社長COOに就任する直海知之氏<左>と、代表取締役会長CEOに就任する浜田宏氏)  SBIモーゲージは2014年6月にカーライル・グループに属するCSMホールディングスが実施した株式の公開買い付けにSBIグループが応じたことで、SBIグループから離脱。今回、MBO(経営陣による株式の取得)によって独立を果たし、「金融事業としてではなく、サービス業として、柔軟な発想のもとで住宅取得の前後をトータルでサポートする企業に生まれ変わる」(CEOに就任する浜田氏)としている。  SBIモーゲージの2015年3月期の売上高(見込)は約130億円(前年度比5%増)、当期純利益は約26億円(同9.5%増)。年間の住宅ローン実行額は約4800億円(同0.5%増)で、年間利用者数は約1万9000人。全国にフランチャイズ展開する170店舗で、住宅ローンの取り扱いを続けている。新体制では、この事業基盤を拡充し、新たな事業領域を開拓することで、成長スピードを一段と加速するという。  新CEOに就任する浜田氏は、昨年の夏以降、代表取締役社長執行役員である直海知之氏らとの会合を重ねる中で、「住宅ローン専業としての展望は、退屈で、面倒。はっきり言って楽しくないと思えた。実際に生活者の実感として、誰も住宅ローンを購入しようとは思っていない。家を買い、家を買うことから始まる新しい生活に夢や希望を持っている。単に住宅ローンを貸し付けるという発想から離れ、住宅を購入する方々の住宅を選ぶところから、さらには、ローンを借りた後での暮らしまでも、トータルでお付き合いができるビジネスを展開すれば、もっと楽しい事業が展望できる」と、自らもMBOに加わって事業に参画する意思を固めた背景を語った。  新社名の「ARUHI」について「人生は“ある日”の積み重ねでできている。ある日の瞬間で人生が決まる。その“ある日”の重要な日のひとつが、住宅を買う日といえる。そして、ARUHIにはギリシャ語で“始まり”を意味する言葉でもある。新しい生活を始める日に寄り添う会社でありたい」(浜田氏)という意味を込めたという。  新しい事業展開については、3つの事業分野で推進する。まずは、主力の住宅ローン分野については、全国の店舗ネットワークを「フラット35」を最低金利水準で提供してきたという実績を引き継いで、一段と拡大する。5月1日の社名変更に伴って、「フラット35」は「ARUHIフラット35」、「SBIフリーダム」は「ARUHIフリーダム」など商品名称を変更。さらに、5月1日には新しい住宅ローンとして中古住宅向けローンとリフォーム費用に関するローンをセットにした「ARUHIフラット35(リフォーム一体型)」を投入する。また、今夏には「女性向け住宅ローン」の商品化を予定し、「リバース・モーゲージ」の商品開発にも取り組むとした。  住宅ローン事業について、新社名のもとでは代表取締役社長COOとなる直海氏は「10年後の2024年度に年間ローン実行額2兆円で、住宅ローン実行額で国内No.1をめざす」という目標を表明した。現在の170店舗は、2016年3月末までに200店舗、2020年3月末までに300店舗へと拡大を計画し、土日祝日営業の店舗や夜間営業時間の延長など、「サービス業の感覚で、徹底した顧客利便の向上に努め、ARUHIファンを増やしたい」(浜田氏)としている。  次に、同社から住宅ローンを借りている人を会員(無料)とした「ARUHI メンバーズクラブ」を運営する。家電、家具、寝具、キッチン用品、インテリアや引越、水の宅配など、住宅取得で必要になる商品・サービスを優待価格で提供する。6月開始の当初の提携企業は、ハイアールアジア「AQUA」、amadana、アクタス、ウォーターダイレクト「CLYTIA」、ニッセン「暮らしのデザイン」の5社だが、2015年内に提携企業を10社に拡大し、「ガーデニングやセキュリティ、家事代行、育児支援、リフォームやヘルスケアサービスなど、住宅ローン完済までの長期間にわたるライフスタイルをサポートするサービスを提供していきたい」(浜田氏)としている。  また、「家探し」を総合的にサポートする「ARUHI家探しサービス」も10月をメドにスタートする。スマートフォンに対応し、「年収」、「家族構成」、「勤務地」などのプロフィール情報を入力すると、同社が過去10年間にわたって11万人に提供してきた住宅ローンで、同様のプロフィールの顧客が購入した物件の情報が表示され、自分の希望に近い物件があれば、その条件に近い類似物件を紹介する仕組み。年収や勤務地を考慮して、より現実的な候補物件が探しやすくなる。(取材・編集担当:徳永浩)
SBIモーゲージは、2015年5月1日から新経営体制のもとで、社名をアルヒ株式会社(ARUHI)に改め、第2創業期として新たな事業展開を推進する。(写真は、ARUHI代表取締役社長COOに就任する直海知之氏<左>と、代表取締役会長CEOに就任する浜田宏氏)
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2015-04-21 18:30