中国における商業賄賂とリスクマネジメント -リベートと割引

商業賄賂というとすぐ思い浮かぶのはリベートだと思います。そのとおり、リベートはもっとも伝統的な商業賄賂行為です。リベートは中国にいて商業賄賂のみならず、賄賂の代名詞のような存在です。他方で、値引きは正当な商行為であるが、状況によって商業賄賂おtなる可能性もあります。
■1. 中国法上のリベートとは何ですか
中国刑法、行政法ともにリベートに関して規定をおいています。いずれの法律においても、リベートは、その受領する相手が公務員か、民間個人かに関わらず、容易に賄賂として扱われることになります。中国刑法第163条は非国家公務員がリベートを受け取った場合を規定しており、第385条2項は国家公務員がリベートを受け取った場合を規定する内容となっています。
行政法分野においては、「商業賄賂行為禁止に関する暫定規定」第5条は明確に、「帳簿記載せず密かに相手単位或いは個人にリベートを供与した場合、贈賄とみなす。単位或いは個人が帳簿記載せず密かにリベートを受領した場合、収賄とみなす」と規定しています。
またその第二項は「本規定におけるリベートとは、経営者が商品を販売する際に帳簿記載せず、密かに現金、実物或いはその他方法で相手単位或いは個人に一定比率の商品代金を返すことを指す」としており、商業賄賂に関して最も基本的な判断基準である「帳簿記載なし・密かに」を明確にしています。
■2. 中国法上の割引とは何ですか
中国法上割引に関して直接規定をおいているのは、「商業賄賂行為禁止に関する暫定規定」第6条2項であり、「割引とは、商品売買における割引を指しており、経営者が商品を販売する際に、明示的かつ実際記帳する方法により割引することである」と規定しています。
同条はさらに、割引は支払いの際に一定の割引を行う方法と支払済み後一定の金額を返金する方法の2つがあると規定しています。
■3. 割引と「企業会計準則」との不一致
しかし、「商業賄賂行為禁止に関する暫定規定」第6条に規定している2つの割引方法と中国の「企業会計準則」における3つの割引方法――即ち現金割引、商業割引及び販売割引――とは一致しません。非常に悩ましいところです。しかし悩ましいことはこれだけではありません。実際取引において、一方が割引に関して明示的に帳簿記載したが、取引相手方がその記載をしなかった場合もしばしば見られます。
■4. 割引を明示的かつ帳簿記載すれば大丈夫ですか
商業賄賂行為の判断基準は「帳簿記載な・し密かに」と述べましたが、逆に「明示的かつ帳簿記載」すれば万全というわけではありません。
例えば、A社とB社が取引を行ったとします。売主のA社が故意に契約違反行為を行い、買主であるB企業に違約金を支払いました。しかし調査の結果この「違約金」は売主が買主に金銭を渡すために行ったことが判明。この場合、商業賄賂として認定されることになります。ほかにも、商業賄賂になると知りつつ、品質保証金として買主に支払ったりすることもよくあります。
■5. 商業賄賂リスクを避けるためにすべきこと
では割引に関して、いかに商業賄賂行為に間違って認定されることを避けるべきでしょうか。何より法律の規定とおり、割引を「明示的かつ帳簿記載」することをしっかりすべきです。
具体的に、取引相手との取引契約において割引することを明確に記載すること、インボイスにおいても割引を正確に反映させること、会社の帳簿においても正確に記載すること等をしっかり行うことです。
取引相手に対しても契約或いはそのたの承諾書の形で、「明示的かつ帳簿記載」することを約束させることができたら、より安全を期することができます。(つづく)(執筆者:エレドン ビリゲ(額尓敦 畢力格) 提供:中国ビジネスヘッドライン)
商業賄賂というとすぐ思い浮かぶのはリベートだと思います。そのとおり、リベートはもっとも伝統的な商業賄賂行為です。リベートは中国にいて商業賄賂のみならず、賄賂の代名詞のような存在です。他方で、値引きは正当な商行為であるが、状況によって商業賄賂に展示する可能性もあります。
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2015-04-30 11:30