ドイツが手本だ!・・・技術とモノづくりの精神=中国メディア

 中国経済網はこのほど「製造強国、刷新と匠の心は欠かせない」と題する論説を掲載した。同論説は、中国の製造業を新たな段階に到達させようという政府の構想について、「ドイツの匠の精神を手本にすべき」との見方を紹介した。  「刷新力の弱さ、核心技術の薄弱さ、共有技術の欠落、資源の浪費、深刻な汚染」――。論説はまず、製造業における中国の“悲惨な状況”を列記した。  中国ではしばらく前から、「中国は製造業の規模が大きい『製造大国』にはなったが、製造業に強みを見せる『製造強国』ではない」との主張が定着している。  論説は2010年にアジア開発銀行が発表したという「『iPhone』1台の製造コスト178.96米ドル(約2万1400円)のうち、日本に還元されるのは60米ドル(約7180円)、ドイツは30(約3590円)ドル、韓国は23米ドル(約2750円)、中国は6.5米ドル(777円)」との調べを紹介。  また中国は必要とする「高級集積回路」のうち8割を輸入しているとして、この“2つの氷のような数字”が、中国製造業が大きくはあるが強くはない」現状を示している」と指摘した。  中国ではドイツの産官学が協同で2011年から進めている「インダストリー4.0」に関心がもたれている。「インダストリー4.0」は例えば、インテリジェント監視システムや自律システムの開発を勧め、工場外の物と物が連携することで新たな価値やビジネスモデルの構築を目指すという。  インダストリー4.0とは、「第4の産業革命」の意で、ドイツ政府が推進する工業の高い競争力を維持していくことが経済成長にとって重要と考えるうえで、製造業の高度化を目指す戦略的プロジェクト。なお、第1次産業革命は18世紀後半の「蒸気機関による自動化」、第2次は20世紀初頭の「電力活用」、第3次は1980年代以降の「コンピューターによる自動化」を指すという。     一方で、中国の「工業強国」への進化について、政府に意見提出を行っているのが技術分野における最高の研究機関である中国工程院だ。しかし、同院院士の朱高峰氏は、中国が「インダストリー4.0」と同様の道を歩むのは不可能と指摘。  ドイツはすでに、「インダストリー4.0」に着手できるレベルだが、中国はその段階に達していないからという。中国工程院はすでに、「2025年までに中国を『製造強国』の一端とする」ことを目標とする「中国製造2025」の構想を発表しているが、中国の場合、まだ「インダストリー2.0」の段階にとどまっている製造業者もあるなど、さまざまなレベルが併存している。  そのため、「中国製造2025」では、「さまざまなレベルの製造業を、関連付けながらレベルアップさせねばならない」点で、ドイツの「インダストリー4.0」よりも複雑な面を持つという。  朱氏は「ドイツと比べて、中国の製造業の技術と品質は、もはや問題ではない」と主張。ただし、問題ないはずの品質が原因で、「毎年2000億元(約3兆8500億円)以上の損害を発生させ、国家の信用とイメージを損ねている」事実こそが、「中国の製造業が直面する一大問題」という。  「中国製造2025」では、製造やサービスの「知能化」が重要な課題とされている。中国工程院の李伯虎院士は、「中国製造2025」を成功させるためには技術面だけでなく「ドイツ工業における、匠の精神を学ぶことが必要」と指摘。  「匠の精神」とは「自らが手がける製品を細かく磨きあげていき、たゆまず改善する理念」であり、李院士によると、「このところ、製造業企業と労働者には、細部を追及し制御するところが欠けている。製品の機能、品質、信頼性、出来ばえで、先進国との差がはっきりとしている」という。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国経済網はこのほど「製造強国、刷新と匠の心は欠かせない」と題する論説を掲載した。同論説は、中国の製造業を新たな段階に到達させようという政府構想について、「ドイツの匠の精神を手本にすべき」との見方を紹介した。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-04-30 16:45