連休中の乱高下に注意!外為オンライン佐藤正和氏

連休中の乱高下に注意!外為オンライン佐藤正和氏 ゴールデンウィークに入って株価が乱調気味だが、ドル円相場は相変わらず変動幅の少ない停滞相場に留まっている。4月の米雇用統計で予想外の結果が出て以来、ドル相場はやや下落傾向が続いているのが現状だ。6月説もあった米国の金利引上げ時期はどうなるのか。日本銀行の追加緩和はあるのか。外為オンライン・シニアアナリストの佐藤正和さんに5月相場の動向を伺った。 ――変動幅は小さいものの、米ドル安が全通貨で進んでいます?その背景には何があるのでしょうか?  4月29日に発表された米国1―3月期のGDP(速報値)が、予想を大きく下回る0.2%に留まりました。前期の+2.2%を大きく下回り、事前予想の+1.0%にも届きませんでした。先月発表された米雇用統計の非農業部門雇用者数でも予想を大きく下回る12万6000人の増加で、米国の景気指標がここに来て大きく後退。米ドルが売られているという状態です。 早ければ6月もあり得るとされていた金利引上げのタイミングも、これで大きくずれ込む可能性が出てきましたが、GDP発表直後に出されたFOMCの声明文で「(景気の減速は)一過性の要因」との見方を示したことで、年内利上げの可能性は残った形になっています。 いずれにしても、FRBのスタンスがはっきりするのは6月の次回FOMC以降になります。そういう意味では、5月の米ドル相場は弱いまま推移するかもしれません。5月8日に発表される次回の雇用統計の結果が注目されるところです。 ――日本では日本銀行の追加緩和期待が高まっているようですが……  株価が2万円を付けて以後、株式市場、円相場共に停滞傾向が続いています。特に、株式市場には達成感が出て、やや売られ気味です。そうした中で、外国人投資家などを中心に、黒田バズーカ―砲第3弾への期待が高まっていますが、少なくとも現在のタイミングで行われる可能性は極めて低いと思います。  ただ、為替市場では実需の米ドル買いなどもあって、大きく円高が進むような結果は考えにくいと思います。株式市場もGPIFや公的資金などの下支えがあって、大きく下落する可能性は低いんじゃないでしょうか。  フィッチによる日本国債の格下げにも、市場はほとんど反応しませんでした。日本国債の金利水準も0.3%を割り込んでおり安定しています。 ――5月のドル円の予想レンジを教えてください。  問題は、このゴールデンウィーク中の海外市場での乱高下です。過去にもたびたび大きく変動したことがあります。ニューヨークの株式市場でフラッシュクラッシュによる暴落が起きて、瞬間的に1000ドルも平均株価が下落したこともあり、連休中は要注意です。  もともと5月は「セルインメイ」と呼ばれて市場は不安定です。米国の雇用統計次第の一面もありますが、ドル円に関しては1ドル=117円-121円というレンジを予想しています。大きく動いても、1ドル=117円を切ってくることはないと思います。 ――ギリシャ危機にも関わらずユーロが買われていますが、5月のユーロ相場は?  欧州経済圏は、大規模な量的緩和と低金利の効果が出ており堅調に推移しています。特に、フランスやドイツでは株価が上昇しており、景気の回復が期待されるところです。 その一方で、ギリシャ問題は相変わらずですが、強硬姿勢が目立ったこれまでの財務担当大臣が更迭されるなど動きが出てきました。地政学リスクも一服感があり、ユーロが買われているようです。  5月のユーロ相場ですが、ユーロ円では1ユーロ=128円-134円、ユーロドルで1ユーロ=1.07ドル-1.15ドルと見ています。現在のユーロ高も、ドルが売られているという要素が強いかもしれません。 ――ここに来て豪ドルが動いていますが、クロス円はどんな動きになるでしょうか?  このところずっと動かなかったクロス円が大きく動くようになってきました。豪ドルとニュージーランドドルが、3か月ぶりに高値を付けるなど堅調に推移しています。鉄鉱石価格の反発や米利上げの時期がずれ込む可能性が出てきたことで、豪ドルが一時的に買われたようです。  ただ、その一面で利下げ観測が浮上しており、5月第2週に開催される予定のオーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の理事会に注目したいところです。最近になって、スティーブンスRBA総裁が「世界的な低金利のリスク」について言及しましたが、市場に大きな反応は出ていないようです。  5月の豪ドル円相場は、1豪ドル=91円-96円というところでしょうか。英国ポンドも含めて、5月相場はクロス円にも注目すると面白いかもしれません。 ――5月相場ではどんな点に注意すればいいでしょうか? 先にもちょっと触れましたが、やはりゴールデンウィーク中は投資家が少なくなるために、変動幅の大きな相場展開になりやすい傾向があります。ポジションを抑え気味にして、こまめにレートをチェックしたいものです。為替は世界全体の動きに左右されますから、注意を怠らないことです。(取材・文責:モーニングスター)。
ゴールデンウィークに入って株価が乱調気味だが、ドル円相場は相変わらず変動幅の少ない停滞相場に留まっている。4月の米雇用統計で予想外の結果が出て以来、ドル相場はやや下落傾向が続いているのが現状だ。
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2015-05-01 16:00