スパークス・グループ、「2020年までの日本株展望」をテーマに全国セミナー

スパークス・アセット・マネジメントは、「日経平均4万円に向けた日本株投資戦略とSPARX VISION 2020」をテーマにした全国セミナーを開催した。同社が運用する「スパークス・新・国際優良日本株ファンド<愛称:厳選投資>」がモーニングスターの「Fund of the Year 2014」で日本株部門の最優秀ファンド賞を受賞した記念セミナーで、モーニングスターが共催。2015年4月1日の大阪を皮切りに、4月2日に東京、4月17日に名古屋、4月21日に福岡、4月24日に札幌を巡った。セミナーでは、スパークス・グループ代表取締役社長の阿部修平氏が日本株の展望を語った他、スパークス・アセット・マネジメントのチーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)の藤村忠弘氏(取締役 運用調査本部長)がモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏と対談して日本株投資における銘柄選定のポイントなどについて語り合った。4月2日の東京セミナー(写真)を取材した。
■「株しかない」――正常なインフレの時代に向かう日本の株式市場
スパークス・グループ社長の阿部修平氏は、「株しかない 9,000億円を運用するファンドマネージャーの日本株展望」と題して基調講演を行った。1989年7月にスパークス・グループを創業して以来、20年間にわたった「デフレのスーパーサイクル」(阿部氏)を経て、復調してきている日本株式市場の現状について「一歩一歩正常なインフレの時代、新しい時代を作りつつある」と評価。2007年7月の日経平均1万8,262円を8年ぶりに超え、現在は2000年4月の2万833円という15年ぶりの水準をめざす過程にあると捉え、「2015年は、日経平均2万833円を超え、1996年6月の2万2,667円にチャレンジする年になる」と見通している。
阿部氏は、「日本株を押し上げる新しいエンジンとして2つの革命が進展している」と指摘。「一つは、『資本の生産性革命』で、日本企業はROE(株主資本利益率)を意識した経営を行い始めている。本当にROEを高める経営が広く行き渡ることによって日本の株価の位置も変わっていく。そして、もう一つは、『人の生産性革命』であり、今後、少子化で人口が減る日本にあっては、ロボットを使う生産が一段と広がる。今後普及していくロボットは、人間と対話し、あるいは、ロボット間で対話をすることで学んでいくロボット。そのようなロボットの普及がスタートする年になる」として、「大きな2つのトレンドが本格的な動きになってきたとき、日本の株価は次のレベルに向けて力強く上昇する」と語った。
そして、「過去20年にわたるデフレのスーパーサイクルを経験した投資家は『株価は下がるものだ』と思っている。しかし過去100年の歴史を振り返ると、名目の(インフレ率を加味した)先進国のリターンは年率10%前後だった。これは歴史が示す株式のリターンであり、今後、日本の株式市場が正常化に向かうことで、歴史的な株式のリターンに回帰していくだろう」と指摘した。
また、日経平均4万円に向けた上昇を予測する根拠として、「日本企業の損益分岐点は1954年以来、例を見ないほどの水準に低下し、先進国の中で、最も利益を出しやすい強固な体質になっている。さらに、日本の個人金融資産1,654兆円(2014年9月末)が、貯蓄から投資に向けて大きく動き出す環境が整備されてきた。これは、米国が1974年のエリサ法(従業員退職所得保障法)をきっかけに、当時は家計の投信保有比率が0.7%に過ぎなかったものが、現在では、家計の13.1%が投信、家計の32.5%を占める年金も多くは401kなどを通じて投信で運用されている状況になった。日本では家計に占める投信の割合は5.5%で、現金・預金が52.5%を占めているが、この比率が大きく変わろうとしている。NISA(少額投資非課税制度)やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用方針での株式投資比率の大幅な引き上げなど、政府が主導して環境変化を促している」と語っている。
自己資本が現在の平均ROE約6.59%で成長すると、東京オリンピック/パラリンピックが開催される5年後は自己資本が約37%増額される。PBR(純資産倍率)が2倍と仮定すると日経平均は3万5000円、2.25倍で3万9752円になると想定すること可能であり、先進国のPBRが1.5倍~2.5倍で推移していることから、PBR2.5倍になると日経平均が4万円を超えていくことも十分あり得るとした。
■最優秀ファンド賞のファンドマネージャーが語る銘柄選定のポイント
スパークス・アセット・マネジメントの藤村忠弘氏とモーニングスターの朝倉智也氏との対談では、「運用会社としてのスパークスの強み」や「ファンドを評価する時のポイント」、また、「ファンドマネージャーが銘柄を選定する時の企業をみるポイント」などについて語り合った。藤村氏が「多くの人が、株式に投資をしようと考えた時、株価に注目して投資の可否を判断しようとするが、大事なことは企業そのものを見ること」と指摘。そうすると、すかさず朝倉氏が、「具体的に企業を見るポイントは?」と尋ね、藤村氏は「時価総額、純資産、利益の3点が基本。現在の純資産に対して、株価の時価総額は何倍になっているのか? 現在の純資産に、毎期の利益が積み上がっていくと、その企業の5年後、10年後はどうなっているのかを考えることが重要。利益の積み上がり方が、安定的なのか変動率が大きいのかを把握することも大切」など、具体的な事例を挙げて、銘柄選定のポイントについて解説した。
また、藤村氏は、日本の株式運用の現実として「投信会社も含めた機関投資家は、運用する資金が大きいため、時価総額の大きな上位銘柄しかフォロー出来ていないのではないか。スパークスも、年間2,000回以上の企業調査を実施しているが、それでも流動性が極端に乏しい小型株の一部の銘柄は調査対象から外れている。これらの調査対象から外れた小型株は時価総額が小さすぎて機関投資家が投資できない銘柄群となっているが、実は、このように機関投資家が投資を見送っている銘柄の中に、株価が大幅に値上がりする銘柄が潜んでいることがある。」と指摘。「身近な企業について、その会社のサービスや製品などを良く吟味し、数年間にわたって見続けていると、企業の変化がわかり、その企業の変化と株価の関係も理解できるようになるものである。そのようにして現在の株式市場と向き合うと、多くのチャンスがあることが理解できる。」と語っていた。(編集担当:徳永浩)
スパークス・アセット・マネジメントは、「日経平均4万円に向けた日本株投資戦略とSPARX VISION 2020」をテーマにした全国セミナーを開催した。(写真は、4月2日の東京でのセミナーの様子)
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2015-05-08 12:15