高速鉄道の海外輸出・・・「安価だけ」では日本に勝てない=中国メディア

山東省政府系のメディア「中国山東網」は8日、「高鉄(高速鉄道)の海外輸出、価格の安さは決め手にならない」と題する記事を配信した。高速鉄道の東南アジアへの売り込みは日本との競争になるとして、「中国製はとにかく安い」とのイメージを打破する必要があると主張した。
同記事は、シンガポールとクアラルンプールを結ぶ「マレー半島高速鉄道」に注目。シンガポールのリー・シェンロン首相とマレーシアのナジブ首相が5日、当初予定だった同鉄道の2020年完成は延期すると表明したことに触れたが、東南アジアへの高速鉄道輸出については日本との厳しい戦いが続くとの見方を示した。
中国では、高速鉄道建設の海外売り込みについて、「価格の安さ」で大いに有利との論調が強い。同記事は、「低価格は受注の決め手にならない」と論じ、重要なのは「費用対効果」と主張。さらに、「費用対効果」は単純な指標ではなく、「技術や建設や運営における厳しい安全基準」などを含む複雑な概念であり、背後にある輸出国政府の財政支援や信用なども関係していると指摘した。
記事は、高速鉄道建設の費用対効果で、「日本に比べて中国が優位にあるのは明らか」とした上で、日本は高速鉄道輸出の“伝統大国”で発言権が強いと指摘。中国は高速鉄道分野で「製品の認知度」を高め、「市場の開発を進め、技術面での新たな標準を樹立する」必要があると主張した。
さらに、中国がアジアから欧州までの広大な領域に「産業のベルト地帯」と「各地域を結ぶ交通路線」を建設する「一帯一路」戦略を掲げていることに触れ、東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力体制も急速に進んでいるなどの「地縁における有利さがある」と主張。
ただし、マレーシアとシンガポールについては、両国関係などの政治リスクも十分に考慮し、大型借款の供与はできるだけ回避すべきだとの考えを示した。
記事は、高速鉄道の海外輸出は、インフラ建設分野で軽視できない作用を持つと主張。高速鉄道は国家の科学技術の総合実力を示すものであり、中国にとって「とにかく安い」とのレッテルを打破し、「品質が優秀」とのイメージを樹立することにつながり、中国企業の海外輸出全体についても、積極的な意義を持つとの考えを示した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C) Ping Han /123RF.COM)
山東省政府系のメディア「中国山東網」は8日、「高鉄(高速鉄道)の海外輸出、価格の安さは決め手」にならないと題する記事を配信した。高速鉄道の東南アジアへの売り込みは日本との競争になるとして、「中国製はとにかく安い」とのイメージを打破する必要があると主張した。(イメージ写真提供:(C) Ping Han /123RF.COM)
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2015-05-11 10:30