「中国進出」に苦労した日本企業・・・円安で「まさか」の逆風=中国メディア

中国の経済情報サイト、第一財経は12日、「円安が投資コストを引き上げ。日系の部品企業が中国で進退きわまる」と題する記事を掲載した。苦労して中国に進出して事業を軌道に乗せたが、円安により「進出の意味」が消滅してしまったという。
記事は、江蘇省丹陽市に進出した、日系自動車部品メーカー幹部を取材した。大手自動車会社で40年ほど働き、うち18年は中国に駐在したという。大手在職時は、社内で「中国市場に注力を」と唱えたが、あまり重視されなかった。退職後に中国で自動車部品の製造会社を設立したという。
中国で起業したのは「日本の自動車産業は飽和状態」などの危機感があったからだ。1社だけの進出は困難だったので、2011年に日本貿易振興機構(JETRO)上海代表処の支援も受け、日本の企業家数十人を組織して、江蘇省内を視察した。そして、同省丹陽市への「集団進出」を決めた。
市政府の支持もあり、スピーディに日系自動車部品製造会社が集中する工業パークを作ることができた。同市で大小1000社あまりある同業者の中で「競争における一定の優位さ」も獲得することができた。
当初計画では2012年に50社程度が進出し、3年間でさらに100-300社が進出するはずだった。しかし、2014年の新規進出は0社だった。日中関係が不安定である上に、円安で投資コストが上昇したことが大きく影響したという。2012年に1ドル=80円程度だった円・ドルレートは1ドル=120円程度までになった。人民元・ドルのレートはそれほど大きく変動していないので、日本企業にとっては単純計算で進出コストが5割増になったことになる。
当初試算では、日本本土と比べて丹陽市での生産コストは2-3割低くなるはずだった。しかし現在では「ほとんど差のない状態」になってしまったという。そのため、工業パーク第2期分の建設は延期された。同市関係者によると、「相対的に言って、日本人は投資について非常に慎重です。ですから目下のところ、招聘(しょうへい)は非常に困難です」という。
上記の日系自動車部品メーカー幹部によると、困難は一時的なものと考えている。中国における自動車販売量は増加しており、日系の自動車メーカーの現地化も進んでいる。部品会社が中国進出を断念したのでは「日系自動車会社に価格見積もりもだせない」ことになり、機会を喪失するだけだからだ。さらに、欧米系や中国系の自動車会社への部品供給も、すでに始まっている。日系の部品メーカーが日系の自動車会社だけを“市場”と考えるのは「愚かなこと」という。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
中国の経済情報サイト、第一財経は12日、「円安が投資コストを引き上げ。日系の部品企業が中国で進退きわまる」と題する記事を掲載した。苦労して中国に進出して事業を軌道に乗せたが、円安により「進出の意味」が消滅してしまったという。(イメージ写真提供:123RF)
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2015-05-13 13:45