シャープ、第3四半期決算で黒字転換も経営改革の推進は緩めず

シャープ <6753> は2014年2月4日、2013年度第3四半期決算を発表した。第3四半期まで累計(4月-12月)の売上高は2兆1572億円(前年同期比21%増)、営業利益は814億円、経常利益は375億円、純利益は177億円と黒字に転換した。自己資本比率は、2013年3月末の6.0%が12月末には13.1%に改善した。決算発表会で同社代表取締役社長の高橋興三氏(写真)は、「期初の目標を決算数値では達成したが、依然として財務内容は厳しく、引き続き、経営改革を緩めることなく推進したい」と語った。
今期の業績改善の牽引役は、デジタル情報家電(部門売上高は前期比23.5%増、営業利益は同3.8倍)、太陽電池(同29.4%増、93.7%増)各部門の伸長。業績悪化の大きな要因であった液晶部門は、売上高こそ前期比2.5%減と減収だったが、営業利益は同43.1%増と利益率が大幅に改善した。
経営改善対策の取り組みについては、減価償却費の削減や人件費の減少によって2012年度1-3四半期(9カ月)対比で976億円の固定費削減を実施し、黒字転換に大きく寄与した。また、資本増強策として2013年10月、11月に実施した公募増資およびオーバーアロットメントによる株式の売り出しに伴う第三者割当増資で計1203億円を調達。また、2013年10月にデンソー、マキタ、LIXILを割当先とする総額174億円の第三者割当増資も実施している。
また、2013年12月末の有利子負債は1兆2198億円で、9月末比245億円の増加。公募増資等の資金調達による現預金の増加によって、純有利子負債は9013億円へと減少してきているものの、「一段と有利子負債の圧縮を行っていきたい」(高橋氏)という課題になっている。
今第3四半期で伸長したデジタル家電部門では、液晶テレビが台数・金額ともに伸びた他、携帯電話も営業黒字を確保。引き続き、4K対応AQUOSやクアトロンプロ等の高精細液晶テレビの拡大と、高精細、低消費電力「IGZO液晶」搭載の携帯電話のラインアップ拡充によって、成長をキープする考え。
太陽電池部門はメガソーラー向けの産業用が好調で第4四半期に一段と伸びる見通し。また、液晶分野は、スマートフォンやタブレット端末向けの中小型を中心に更なる拡大をめざすとした。「全ての事業に言えることは、技術を中心とした発想によって、汎用的なものから専門的、コモディティから付加価値の高いものへとシフトを図ることで、利益を出せる体質に変えていきたい」と語っていた。
なお、第3四半期の決算を受けて、2013年度通期の業績予想を修正。年間売上高は2兆9000億円へと2000億円増額修正。営業利益は1000億円へと200億円の増額修正とした。ただ、経常利益や当期純利益については、支払利息、新興国通貨安(インドネシア・ルピア、インド・ルピーなど)に伴う為替差損、資金調達関連費用等の営業外費用の増加によって、前回予想を据え置き、経常利益は400億円、当期純利益は50億円としている。(編集担当:徳永浩)
シャープは2014年2月4日、2013年度第3四半期決算を発表した。(写真は、シャープ代表取締役社長、高橋興三氏。サーチナ撮影)
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2014-02-04 20:45