【為替本日の注目点】ドル売りオーダーも相当、ECBでユーロ急落
NY市場
ドル円は住宅関連の指標が大きく上振れしたことで米景気への安心感が広がりドルが買われた。一時120円74銭と、約5週間ぶりの水準を記録。ユーロでもユーロ安が進んだことにも反応した格好だった。ユーロドルはECBのクーレ理事の発言で急落。1.13台から1.1119まで売られた。
株式市場はまちまち。住宅着工件数が増加したことで利上げ観測が広がり、ダウは3日続伸。一方ナスダックは8ポイント下落。債券市場は下落。住宅着工件数が大幅に伸びたことを嫌気し長期金利は2.29%台まで上昇。ドルが買われたことで金は大幅に反落。原油も2ドルを超える大幅安に。
4月住宅着工件数 → 113.5万件
4月建設許可件数 → 114.3万件
ドル/円 120.14 ~ 120.74
ユーロ/ドル 1.1119 ~ 1.1192
ユーロ/円 133.97 ~ 134.71
NYダウ +13.51 → 18,312.39ドル
GOLD -20.90 → 1,206.70ドル
WTI -2.17 → 57.26ドル
米10年国債 +0.053 → 2.290%
本日の注目イベント
日 1-3月GDP(速報値)
独 独4月生産者物価指数
英 BOE議事録
米 FOMC議事録(4月28、29日分)
米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
昨日この欄で「日経平均株価が2万円の大台で引ければ、海外市場で120円台半ばを試す可能性もある」といったコメントを残しましたが、まさに昨日の海外市場では120円台半ばを抜け、120円74銭までドル高円安が進行しました。もっとも、円はユーロが再び1.11台まで急落した流れに引っ張られた印象もありますが、約5週間ぶりに、120円台半ばの「壁」を抜けたことは意味があるように思います。
米景気に関しては、このところ軟調な経済指標が続き、昨日の経済紙などが「年内の利上げはないのでは」といった記事を掲載したばかりでしたが、昨日の住宅着工件数は、市場予想の101.5万件に対して113.5万件と、12万件も上回り、さらに3月分も上方修正されています。また今後の着工件数につながる建設許可件数も、市場予想の106.4万件に対して114.3万件と、こちらも大きく予想を上回っています。
久し振りに事前予想を大きく上回る結果に、後退していた利上げ観測が再び前倒しになるとの見方も台頭しており、長期金利は上昇しました。また、昨日発表されたサンフランシスコ連銀のエコノミック・レターも材料視されたようです。これは、1-3月期のGDP+0.2%は、実際には商務省発表の内容よりも「大幅に強い」という報告で、+1.8%だったとの推計を示しています。サンフランシスコ連銀の調査官はその原因を「おそらく統計上のゆがみがその一因である」と分析しています。
ユーロドルが1.13台から急落し、1.12割れの水準まで売られ、ここ1週間の上げ幅を吐き出した格好になりました。ECBのクーレ理事が、債券購入ペースを加速させる方針だと発言したことが伝わり、ユーロ売りが強まったものです。このところのユーロの上昇と、ドイツをはじめ欧州債の利回りが急上昇したことをけん制する目的だったと思われ、この発言をきっかけに欧州債は買い戻され、金利は低下しています。
ドル円は120円台半ばを抜けたことで、「日足」チャートでは明確に「雲」を上抜けしているのが確認できます。これまでは「雲」に絡んでいただけで、上抜けしたのは約2ヵ月ぶりの現象です。また、MACDでも「マックディー」がプラス圏に上昇して来ました。「シグナル」がまだ依然としてゼロ近辺で推移しているのが気にはなりますが、テクニカルではドル上昇機運が高まってきたと判断できそうです。
ただそれでもここからはドル売りのオーダーも相当あると予想されます。仮に121円を付けることになれば、約2ヵ月ぶりの水準ということになります。自動車を中心に輸出も好調なため、輸出予約が多く持ち込まれることも想定できます。多くの輸出企業の今期の「社内レート」は115円が中心ですから、「6円の為替差益」は願ってもないチャンスではないでしょうか。今後ドルが一段と上昇するためには、少なくとも今週一杯は120円台を維持することです。本日のレンジは120円20銭~121円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は住宅関連の指標が大きく上振れしたことで米景気への安心感が広がりドルが買われた。一時120円74銭と、約5週間ぶりの水準を記録。ユーロでもユーロ安が進んだことにも反応した格好だった。ユーロドルはECBのクーレ理事の発言で急落。1.13台から1.1119まで売られた。
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2015-05-20 09:45