安倍政権は中国との経済文化交流にも配慮を

日本経営管理教育協会が見る中国 第359回--水野隆張(日本経営管理教育協会営業部長) ● アジアの安定にも配慮を   安倍晋三首相はアメリカ議会で演説して喝采を浴び、日米安全保障同盟の強化を図った。     このことは、アジア地域で軍事力を増強し海洋進出を意図している中国の脅威に対しては、安全保障面で一定の効果があったことは認めざるを得ない。しかしながら、外需依存構造から内需重視の政策に大きく構造転換を図っている中国との経済外交も、同時に積極的に進めるべきではないかと考える次第である。 ● 鄧小平氏が描いた国家ビジョン   かつて中国の低賃金を武器として経済の改革開放を劇的に展開し、外資導入によって中国に急速な経済発展をもたらした功労者鄧小平氏だが、彼は壮大な国家ビジョンを描いていた。それは、中国経済を温飽型(生存に必要な衣食住を満たす段階)→小康型(全ての人民が衣食住を満たして安らかに暮らす中産階級社会)→大同(完全な平等、安泰、平和がある社会)という三段階に描いたというものである。そして現在、大勢の観光客が日本に押し寄せてショッピングで爆買いしている状況をみるにつけ、小康型の発展途上段階まできているということができるであろう。   一方で、環境汚染問題、産業構造の高度化や都市化に伴って一層深刻化している水不足問題、都市・農村での生活ごみの処理問題、農村人口の都市流入の問題、一人っ子政策で急速に進んでいる少子高齢化問題等々、日本経済が高度成長期に経験し解決してきた諸問題が山積していることも事実である。 ● 二階俊博議員率いる観光業者3000人訪中団に期待   日本経済に目を転じてみると、少子高齢化の進展で人口は減少し、それに伴い若い労働力人口の減少で人手不足は益々深刻さを増すであろう。同時に国内市場の縮小化も避けられないであろう。この様な状況の下では海外からの優秀な人材登用や海外市場への積極的なアプローチが求められている。     現在日本の経済評論家やマスコミは中国のバブル崩壊や格差拡大に伴う中国社会の混乱を繰り返し報道しているが、長年にわたり、中国の殆どの大都市や農村などを実際に訪問して観て来た経験者として感想を言わせていただけば、中には意図的な報道もあり、見てきたような嘘を並べた偏った番組もあるように思われる。   隣国に厄介な巨大大国があっても日本は引っ越すことも出来ないので、混乱が起きないようにお互いの足りない部分を補い合って交流を深めていくしかないのではないかと考える。そのような観点から、来月に実行される予定の自民党二階俊博議員が率いる3000人の観光業者の中国訪問が日中経済交流のきっかけになることを期待している。また同時に日本からの訪中観光も以前の活気を取り戻したいものである。   写真は厦門に残る旧日本領事館。(執筆者:水野隆張・日本経営管理教育協会営業部長 編集担当:水野陽子) 
安倍晋三首相はアメリカ議会で演説して喝采を浴び、日米安全保障同盟の強化を図った。このことは、アジア地域で軍事力を増強し海洋進出を意図している中国の脅威に対しては、安全保障面で一定の効果があったことは認めざるを得ない。しかしながら、外需依存構造から内需重視の政策に大きく構造転換を図っている中国との経済外交も、同時に積極的に進めるべきではないかと考える次第である。
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2015-05-20 12:15