ドコモ、茨城県古河市に1400台以上のLTE対応学習用タブレットを導入

茨城県古河市とNTTドコモは、2015年9月1日から、古河市立の小・中学校32校を対象にLTE対応学習タブレット合計1421台を活用した教育・学習支援を推進していくことで合意した。5月20日に古河市役所で協定合意書の調印式を開催した。古河市長の菅谷憲一郎氏(写真:左)は、「教育分野へのICTの活用について複数の企業からの提案を検討した結果、NTTドコモが一番優れていたために採用した」と語り、初年度の予算として通信費も含め3億数千万円を計上したことを明らかにした。また、NTTドコモ取締役常務執行役員の高木一裕氏(写真:右)は、「LTEに対応したタブレットを1400台以上も導入した学習指導事例は日本で初めて。教室だけでなく、校庭や遠足先などでも通信機能を活かし、『古河モデル』として全国に取り組み内容を発表できるようにしたい」と積極的に支援してく姿勢を示した。写真は古河市役所で協定合意書の調印式にて。
古河市は、茨城県の西端に位置し、栃木県や埼玉県と接する「関東ド・マンナカ」のまち。ICT教育に積極的に取り組み、市立古河第五小学校は2012年からノートPCやタブレット端末を教育に活用し、国立教育政策研究所教育課程研究センターの教育課程研究指定校にもなって様々な教育シーンでの活用を行ってきた。古河市教育長の佐川康二氏は、「古河市では4つのステップでICT機器を整備してきた」と語っている。
大型ディスプレーと書画カメラの導入にはじまり、ノートPCによるデジタル教科書の試行、そして、40台のタブレット導入で4クラスに同時展開する「グループ1台」のタブレットを配置して、活用事例を蓄積してきた。
9月1日からは、重点整備校とした古河第五小学校、上大野小学校、大和田小学校の3校については「児童1人に1台」を導入。その他の小学校20校については、1クラス分にあたる各校40台を導入する。また、教育ICTに先導的な役割を担う小・中学校教員15人を選抜し、教員1人に10台のタブレットを与え、ICT学習の活用法の検討を進めてもらうことにした。
古河市教育長の佐川氏は、「3校で1人1台の効果を検証し、全市での展開を考える。1人あたりタブレットを10台与える教員15名には“エバンジェリスト”として今後のICT活用の推進役になってもらいたい。2年をかけて市内全32校に各校1人のエバンジェリストを育成する。今年の小学6年生は来年中学に進学するので、小学校での学習体験が中学校でも引き継げるよう、今年から中学校の教師にもタブレットを使った授業開発を進めてもらう。1年間の活用事例を検証し、5年以内の早いタイミングで、市内全校で1人1台の導入をめざす」と今後の展望を語った。
さらに、古河市とNTTドコモの共同研究として、古河第一小学校5、6年生を対象に、電子教材を搭載したクラウド型教育プラットフォームに連携した1人1台(100台をドコモが貸与)のLTE対応学習用タブレットを使って、個々人に合わせた学力向上効果と教育ITC環境のあるべき姿を検討していく。
また、小・中学校教員を対象に、ICTを活用した教育スキルの向上をめざし、オンライン学習サービス「gacco(ガッコ)」を使った教員向けオンライン学習サービスによる効果検証に関する共同研究を進める。そして、遠距離通学支援バスを利用する児童を見守るため、ドコモの子ども向け腕時計型ウェアラブル端末「ドコッチ01」で登下校時の位置情報等の有用性について検証することも検討していく。
NTTドコモ取締役常務執行役員の高木一裕氏は、政府が進める「教育のIT化に向けた環境整備4カ年計画」を実現するためには、「リッチなコンテンツのやり取りを可能とする通信ネットワークの強化は不可欠なインフラ。2020年の商用運用をめざしてドコモが開発を進める『5G』ネットワークでは10Gbpsを可能とし、政府が普及目標としている1人1台の端末を用いたIT教育に貢献できる。古河市は、この政府目標に一歩先んじてモデル校において1人1台の授業に取り組む」と取り組みの先進性を強調した。
また、「ドコモは中期経営計画で『顧客獲得“競争”』から『付加価値“協創”』へシフトチェンジしていくことをめざし、さまざまなパートナーとの『協創』で顧客に新たな価値を創造し、産業の活性化や社会的課題の解決へ貢献する方針。今回の実証プロジェクトもその取り組みの一つ」と語った。「協働」のひとつとして、古河市の教員とともに学校現場での導入効果を検証していくとともに、教材開発についてパートナー企業と協働し、学校と家庭学習の切れ目のない連携をはかっていくとした。
今回、導入されるタブレット端末は「iPad Air 2」。LTE通信モジュールの搭載で、教室だけでなく、校庭や家庭、遠足先などでも端末を利用できる。学習内容はクラウド上で蓄積・管理し、児童・生徒はいつでも、どこでも学習することが可能で、教師は学習の履歴や進捗度合などを把握し、個々の理解に応じた指導が可能になる。古河市教育長の佐川氏は、「モデル校では小学1年生からタブレットが1人1台配布される。学校連絡等はSNSを使って行う計画だが、ドコモのアクセス制限サービスなどで学校内という限られた関係性の中でネット接続が可能になっており、ネットトラブルを回避しながら持ち帰り学習などをスムーズに展開できる。今回の取り組みを通じて、IT教育に意欲的に取り組む教員を県外からも呼び寄せていきたい」と導入効果を期待していた。(編集担当:風間浩)
茨城県古河市とNTTドコモは、2015年9月1日から、古河市立の小・中学校32校を対象にLTE対応学習タブレット合計1421台を活用した教育・学習支援を推進していくことで合意した。
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2015-05-21 13:45