フォックスコン商業施設への投資から見る中国人のビジネスの考え方

フォックスコンと言えば、ご存知の通りスマホの部品製造メーカーです。中国の深センや鄭州・武漢・上海市に工場を持ち、合計で100万人の社員がいると言われています。
そのフォックスコンが、商業施設を経営する方向との報道がありました。5月6日の中国経営報です。
2011年に長春で30万平方メートル、76億元(約1500億円)の投資でいまだ土地買収ができていない。その前には2009年に重慶に商業施設の買収の計画を打ち出している。私的には直観としてなぜ? と思ってしまった。一方で中国人的な発想をすると、ごくあたりまえなのかも知れません。
一体彼らは何を考えているのでしょうか? 3つの視点で考えてみました。
■1. 中国経済の製造業からサービス業への転換
中所得国の罠から脱却するために、中国全体としてはもがいている状況でです。
中国では財務部長が中所得国の罠から抜けられないと発言したとの報道もありました。まさに、苦しんでいるところなのです。その先行きを見込んだ経営者が業態変革を図ったかもしれません。
■2. 中国人的なリスク分散
1つの事業に集中させるメリットもあるが、デメリットもあります。1つの事業に対する依存が強すぎると、経営がいろいろな意味で危険です。単純にリスク分散を考えた可能性があります。中国人的にリスクを分散する方向に走ったかもしれません。
また、アンゾフのマトリクスのように、既存エリア、新規市場の展開パターンで戦う覚悟は出来ているのでしょう!(技術関連の横展開・人材の活用。人件費率の上昇等)事業の中身があまり共通化されても、それほど気にしないのかも知れません。
■3. 経営資産、人脈
報道だけでは分かりにくい側面もありますが、電子部品、商業施設の共通点を見つけているのかも知れません。許認可もある面では同じかな?
土地買収はいずれにしても重要なプロセスで、経営的には過去の資産が使えるのかも知れません。私自身も信じられませんが、ビジネスドメインを増やして、パワーをUPさせているかも知れません。
土地買収の進捗状況は芳しくないようですが、果たして不動産業にフォックスコンは展開するのか? 私は個人的にはそんなに甘くないという見解です。
生産工場の効率性UPとはすなわち「機械が相手」、商業施設の場合は「人が相手」です。ビジネスモデルが同じでないので、単純に行かないと思います。人件費率がかなりUPした中国で、一体どんなパターンであれば成功するのか見ものです。
中所得国の罠を脱却するために、中国の介護の発展も目が離せません。(執筆者:廣田(李) 廣達)
フォックスコンと言えば、ご存知の通りスマホの部品製造メーカーです。中国のシンセンや鄭州・武漢・上海市に工場を持ち、全部で100万人の社員がいると言われています。
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2015-05-21 13:45