中国における商業賄賂とリスクマネジメント -ブラックリストとは

商業賄賂行為は中国において、非常に盛んであるため、行政、司法機関は法的な制裁以外にも、さまざまな対策を打ち出しています。その1つは、ブラックリスト方式です。一時的な法的制裁による損害は暫定的なものであるが、取締り機関のブラックリストに乗れば、その損害は長期間に及びます。
■1. 検察機関の贈賄犯罪ファイル検索システム
検察機関の贈賄犯罪ファイル検索システムとは、検察機関が個人あるいは組織に関して、その贈賄犯罪事実をファイル化し、情報検索システムを構築し、かつ対外的に開示することで、犯罪行為を抑止する一種の方法です。
当該システムが公式に対外的に公開されたのは2006年です。その後、最高人民検察院が「贈賄犯罪ファイル開示請求の受理に関する暫定規定」を制定し、2012年に「贈賄犯罪ファイル開示業務に関する規定」を制定しました。
当該システムは最初、政府調達、建築、金融、教育、医療等の領域に使用され、全国的なシステムが構築されつつあります。システムは1997年以来の犯罪記録を網羅しています。
その他の行政機関も検察院に照会する方法で、政府調達、或いは別件の取調べの参考にしています。また、個人も開示請求を通じて、調査相手企業の信用情報を開示してもらえるようになりましたので、企業買収の際の調査にもよく使われるようになってきています。
■2. 衛生部門のブラックリスト
中国中央政府・衛生部は、2007年に「医薬取引領域における商業賄賂不良記録を作成する規定」(以下「規定」といいます)を制定し、各省の衛生部門に対して、当該地域における医療領域における商業賄賂ブラックリストの構築を要請しました。公開する方法としては主に、衛生部門のホームページに公開する方法です。
衛生部門の場合、当該規定第2条によれば、主に以下の内容の項目を記載します。即ち、
(1) 人民法院の判決により贈賄犯罪、或いは犯罪の情状が軽く刑法の規定によって刑罰を科す必要のないとして人民検察院が不起訴決定をした場合
(2) 規律検査機関から商業賄賂として立案され、調査された場合
(3) 工商行政管理部門、財政部門或いは食品薬品監督管理部門が処罰決定を行った場合
(4) 省級衛生部門が規定するその他の場合等です。
当該規定第3条によれば、衛生部門がブラックリストに載せる前に、処罰相手に対して、ブラックリスト載せることに関して、聴聞手続きの機会を与えます。
また、当該規定第4条によれば、ブラックリストに載った医薬品会社は2年間の間如何なる名義によっても、政府調達に入札できなくなります。しかし、独立法人格を有する子会社、或いはその親会社のどちらかがブラックリストに載ったことで、他方が影響を受けることはありません。
■3. 今後の流れ
商業賄賂行為等に対する取締りは今後さらに強化されると思われます。人民検察院の贈賄犯罪ファイル検索システムはかなり出来上がっており、他方衛生部門のブラックリスト制度は最初実効性が弱かったものの、2013年に中央政府・衛生計画生育委員会(衛生部の組織改編により同年誕生した組織)の規定によりさらに強化されるようになりました。
工商行政管理機関も企業信用情報調査システムを公開するなど、他の行政機関も同じ制度を立ち上げていくことになっています。このようなシステムに登録されると、一時的な法的制裁と異なり、その損害は長期間に及びます。逆に、中国の企業を買収する際の調査にも使用でき、買収後のリスクヘッジに利用できます。(つづく)(執筆者:エレドン ビリゲ(額尓敦 畢力格) 提供:中国ビジネスヘッドライン)
商業賄賂行為は中国において、非常に盛んであるため、行政、司法機関は法的な制裁以外にも、さまざまな対策を打ち出しています。その一つは、ブラックリスト方式です。一時的な法的制裁による損害は暫定的なものであるが、取締り機関のブラックリストに乗れば、その損害は長期間に及びます。
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2015-05-27 12:15