中国とロシア国境の町、満州里市を訪ねて

日本経営管理教育協会が見る中国 第360回--三好康司(日本経営管理教育協会会員)
2011年7月に、木材業界視察のためロシア国境の町である中国満州里市を訪れた。その時の様子を振り返ってみる。
1.満州里市の概況
満州里市は、中国内モンゴル自治区に位置し、人口は約30万人、ロシアとの国境からわずか16キロメートルの町である。気候は乾燥しており、夏の気温は30度強まで上がるが、逆に冬は零下35度まで下がることもあるようで、寒暖の差が激しい。中国最大の陸路交易の場であり、中国はロシアから原油、原木、肥料などを輸入し、また中国からロシアに向けては中国製自動車や、軽工業製品を輸出している。鉄道は満州里駅を通じロシア、ヨーロッパに繋がっており、交通の要衝と言える。なお、中国は標準軌であるのに対しロシアは広軌であるため、満州里駅で積載した貨物を乗せたままで、その貨車の台車の履き替えを行っている。
2.満州里市の木材産業
右上の画像は、満州里駅に積み上げられたロシア原木(丸太)である。世界有数の森林大国であるロシアから、アカマツ、カラマツ、エゾマツなどを中心に毎日大量の原木が満州里駅に到着する。満州里市には約150社の製材工場(木材加工場)があり、建設材料や家具などに加工され、北京をはじめとした中国各都市に出荷されている。複数の製材工場を視察したが、規模の大小はあるものの、中国の旺盛な内需に支えられ各社とも受注は好調であるとの印象をもった。
3.町の様子
北京から満州里には飛行機で入ったが、ロシア国境の町ということもあり満州里空港の建物がすでにロシア風である。市内までは車で移動したが草原が広がり、のどかな光景だ。そして、市内中心地に到着、商店の看板をはじめ至るところでロシア語が目に入る。ロシア料理店も多い。「ここは中国?」という気分になる。また、ロシア国境まで車で案内してもらったが、16キロメートルの距離ということもありあっという間に国境に到着、拍子抜けする感じであった。
また、市内には満州里套娃広場という公園があり、そこには高さ30メートルのマトリョーシカ人形が置かれていた。ロシアとの深い繋がりを感じさせられる広場である。
2015年5月9日付の日本経済新聞(朝刊)に、「新経済圏で中ロ協調」という記事が掲載された。中国の習近平主席とロシアのプーチン大統領がモスクワで首脳会談を開き、中国と欧州を陸路で結ぶ経済圏「シルクロード経済ベルト」構想を推進するため、中ロが中央アジアのインフラ整備で協調することで一致したそうである。交通の要衝として、満州里市はますます重要性を帯びていくのであろうか――そのような感想を持ち、2011年の満州里市訪問を振り返ってみた。(執筆者:三好康司・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)
満州里市は、中国内モンゴル自治区に位置し、人口は約30万人、ロシアとの国境からわずか16キロメートルの町である。気候は乾燥しており、夏の気温は30度強まで上がるが、逆に冬は零下35度まで下がることもあるようで、寒暖の差が激しい。
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2015-05-28 01:00